2018 年 60 巻 2 号 p. 193-203
渓流域に広がる河川間隙水域の有機物貯留量および分解を明らかにするために,渓流で優占するステップ地形に着目し,間隙水中の溶存有機炭素(DOC)と粒状有機物(POM)の濃度,堆積物中のPOM量から貯留量,生分解性溶存態有機炭素濃度(BDOC)と綿布分解速度から分解作用を評価した。河川水が流入するステップ上に拡がる河川間隙水域において,DOCとPOMの濃度が高く,BDOC濃度も高い傾向が見られたことから,貯留量が多く,分解速度も速いことが示された。また,間隙水中の有機物濃度は河川水に比べて高く,出水時に間隙水域に流入したPOMからDOCが溶出していることも示唆された。