地下水学会誌
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論説
高山の水文地質学
世界の河川の源流を支える地下水の役割
林 正貴
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2020 年 62 巻 1 号 p. 43-58

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抄録

高山源流域の湧水は山岳地帯の川の基底流を維持するので,水性生物の生息環境,水力発電,下流域の水資源供給などに重要である。崖錐,モレーン,岩石氷河などの高山地形要素は主要な帯水層であるが,地質状況によっては基盤岩の帯水層も存在する。高山の一次,二次流域の地下水貯留流出特性は個々の帯水層の大きさや分布によって決まり,それが大規模河川の基底流特性を支配する。類似した高山地形要素は類似した水文地質学的性質を持つことを考えると,地質や地形条件に応じて共通の枠組みを使って世界各地の高山帯水層の性質を理解することができる。このような手法は大規模河川の水文モデルの地下水特性を変数化するのに有効だと考えられる。

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© 2020 公益社団法人 日本地下水学会
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