日本地下水学会会誌
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地すべり地における1m深地温測定による地下水流脈調査法について-第2部
1m深地温測定調査の実施例
竹内 篤雄
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1981 年 23 巻 1 号 p. 1-27

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抄録
これまで延べ42ヵ所で行なった1m深地温測定調査結果のうち7ヵ所を取り上げて,第1部で理論的な可能性の示された同調査法の現地における有効性と実用性について検討すると共に,2,3の問題点をのべた.
第1章では現地での実施例として次の7ヵ所について調査結果をのべた.
1-1では切取り斜面に認められた地下水流脈の露頭を例にとり,それの実在を立証し,それの存在による深層地温の乱れについて検討した.
1-2では小範囲の試験地で地温調査を行ない,その結果を他の地下水調査法(地下水追跡,温度検層,流層検層)の結果と対比した.
1-3では地温調査結果に基づいて,流脈規模と存在深度を三次元的に推定し,その妥当性を集水井施工によって示した.
1-4では旧小川沿いの伏流水の経路を調査し,それを地下水追跡調査によって確認した例を示した.
1-5では広域地温調査とその結果に基づいて施工された集水井の効果を長期間地下水位観測を行なうことによって検討した.
1-6では冬期における地温調査の適用性とその有効性について,他の地下水調査結果と対比して検討した.
1-7では流脈規模の盛衰と土塊活動との関係を長期間観測結果に基づいて検討した.
第2章では上記調査結果に基づいて,第1に地下水流脈の実在性とそれによる浅層地温の乱れが存在することを立証し,第2には地下水追跡,地下水流層検層,温度検層等の調査結果と地温調査の結果とを対比し,同調査法の有効性と実用性の実証を試みた.その結果,同調査法は電気探査よりは流動地下水の存在場所に関する詳しい情報を提供してくれることが示された.第3に平常1m深地温の決め方について多少問頭のあること,同調査法は測定条件が良ければ流動地下水温と平常1m深地温との差がかなり小さくても適用できること,適用期間が太平洋側と日本海鋼とでは気候的・地理的・水文的因子により多少ずれることなどについてのベた.
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