地下水学会誌
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飽和多孔媒体中のDNAPL液滴の発生メカニズム
Vu Dinh HUNG佐藤 邦明今村 聡
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1998 年 40 巻 3 号 p. 289-310

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抄録

比重の重い非溶解性の液体(Dense Non.Aqueous PhaseLiquid:DNAPL)が飽和層中に浸入する際に.DNAPLは.液滴状またはフィンガー状のいずれかの形態で浸入していく.この現象を力学的に解明するためには.飽和多孔体間隙中における非溶解性液滴の形成プメカニズムを把握することが重要である.本研究では.異なった空隙形状における非溶解性液滴のスナップ・オフ(ちぎれて液滴が形成される現象)の発生について研究したものである.DNAPLを用いたスナップ・オフ実験は.(1)単一毛細管モデル.(2)ガラスビーズを用いた単一空隙モデル.(3)連続空隙モデル.の3つのモデルを用いて行われた.
実験結果によると.スナップ・オフは舌状のDNAPLが重力によりガラスビーズのくびれた部分を通過する際に.不連続に発生し.その力学的挙動は.くびれ部分の幾何学的形状とDNAPLの物性によって支配されている.スナップ・オフ形成の可能性にとって.間隙の構造と寸法が大きな要因を占めており.条件(空隙径が大きい時やDNAPL液深が浅いとき)によっては.スナップ・オフは発生せず.DNAPLはフィラメント状に浸入する.また.スナップ・オフによって生じた液滴は.連続する空隙のくびれ部分で.固相と衝突し.二つまたはそれ以上の小さな液滴に分裂していく.このような過程を経て.飽和多孔体中では.異なった色々の寸法の液滴が流下していく.

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