地下水学会誌
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チリ国ジュタ川流域にみられる地下水涵養過程におけるヒ素およびホウ素濃度の変化とその要因
山崎 安正畑 裕一
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2000 年 42 巻 4 号 p. 341-353

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抄録

チリ国北部を流れるジュタ川は.アンデス山脈にその源を発し.アリカ市北部で太平洋に注いでいる.同地域では数少ない恒常流を持つ河川の一つである.ジュタ川の河川水は.高濃度のヒ素およびホウ素を含むことで知られている.ジュタ下流域では.河川堆積物が分布し帯水層を構成している.この帯水層の涵養源は.水文地質条件から判断してジュタ川の河川水のみであるが.ヒ素とホウ素濃度に河川水との大きな変化が見られる.ヒ素濃度は.河川水では高く.地下水では低い.ホウ素は逆に.河川水より地下水の濃度が高くなる.このようなヒ素およびホウ素濃度の変化は.河川水が地下水を涵養する際のろ過作用や濃縮作用といった物理的過程によって生じたものと考えられる.このほか.ホウ素については地質起源の汚染の影響が考えられる.

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