割れ目の幾何(パターン)が岩盤の透水性や内部の物質挙動に与える影響について明らかにすることを目的とした.アクリル製の角柱ブロックを水槽内に異なるパターンで並べることによって,6種類の模擬割れ目岩盤を作り,トレーサー試験を行った.トレーサーの挙動は,最大64箇所の割れ目交差部でトレーサーの電導度を計測することによって把握した.解析の結果,割れ目パターンの違いは流路長や有効間隙率を変化させ,異なる透水性やトレーサープルームの形状を示すこと,平行板からなる割れ目内における機械的分散現象が生じていることを明らかにした.トレーサープルームの形状の成因については,交差部における流線と拡散ゾーンの概念を導入して考察した.