地下水学会誌
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論文 海底地下水湧出域における間隙水圧連続測定による間隙水圧場および水理特性評価の試み
浦越 拓野徳永 朋祥茂木 勝郎
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2005 年 47 巻 2 号 p. 181-197

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抄録

海底地下水湧出現象は,陸域水循環系の出口のひとつとして,また,陸域起源物質の沿岸域への供給経路のひとつとして重要である.海底地盤中の地下水流れのポテンシャル場や水理特性は,海底地下水湧出現象を規定する要因であり,これらを明らかにすることは,海底地下水湧出現象を理解する上で重要である.そこで,本研究では,海底地盤中の2深度での間隙水圧の長期連続測定から,鉛直間隙水圧分布と水理特性を評価する手法の開発を行い,海底地下水湧出の存在が知られている黒部川扇状地沖合に適用した.その結果,海底面下0.5m及び0.84mでの間隙水圧が静水圧よりそれぞれ0.23kPa及び0.63kPa程度高いことが明らかになった.また,波浪に対する間隙水圧の応答から,地盤のhydraulicdiffusivityが0.3-1.2m2/sと評価された.これらから,海底地下水湧出の流束は1.8×10-6-5.6×100-5m/sと推定された.

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© 公益社団法人 日本地下水学会
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