2007 年 49 巻 1 号 p. 3-15
日本では堤高の高いフィルダムが崩壊するような事故は発生していないが,海外では初期湛水時に甚大な事故となった事例が存在する.これより,ダムの初期湛水時には,精度の良いダムの挙動予測と,その予測に基づく挙動の評価を行うことが重要である.筆者らは南相木ダムの湛水に当たり,コア丙の間隙水圧の挙動を予測する手法とそれに基づいて挙動を評価する手法について研究してきた.本研究は,統計確率論的手法の一つである人工ニューラルネットワークによる挙動予測と構成則に基づく応力・浸透連成解析による挙動評価を組み合わせた統合的な挙動予測システムを開発し,このシステムを初期湛水に適用して,その有効性を検証したものである.