老年看護学
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認知症者介護経験と家族の会役員活動をつなぐ内面的理由
標 美奈子
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2005 年 10 巻 1 号 p. 116-123

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抄録
本研究は,認知症に対する社会的理解や制度が十分整っていない時代に介護を経験し,同時に家族の会役員として活動してきた5名を対象として,介護経験と役員活動をつなぐ内面的理由を明らかにすることを目的とした.研究方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.その結果,介護経験と役員活動の相互作用として,認知症者の介護に対する「絶対的直接経験性」という共通認識,共通経験者の出会いにより開放されていく「閉塞感からの解放」,介護経験を家族の会役員として生かしていく「メディアとしての介護経験」,介護経験を再現し再活性化し,意味づけていく「経験の現在化」,介護経験で得られた能力を他者に伝える「経験の連鎖的伝承」があった.また家族の会の取り組みの特徴として「はじけるようなアドボカシー」があった.これらの結果から,家族の会役員が経験的に積み重ねてきた独自の援助機能を生かせる協働活動のあり方を検討していくことが看護職にとって重要な意味をもつことが示唆された.
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