老年看護学
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最新号
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巻頭言
日本老年看護学会第22回学術集会特集
会長講演
特別講演
教育講演
シンポジウム
原著
  • 前野 里子, 田渕 康子, 松永(明時) 由理子, 藤田 君支
    2018 年 22 巻 2 号 p. 31-39
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,施設に入所している認知機能障害のある高齢者の夜間睡眠の実態を把握し,さらに夜間睡眠とADLおよびBPSDとの関連を明らかにすることとした.介護老人福祉施設/特別養護老人ホームに入所中の認知機能障害のある高齢者39人を対象に,センサーマット型睡眠計を用いて夜間睡眠を測定しADLおよびBPSDとの関連の検討を行った.

     その結果,対象者の平均総睡眠時間は503.3(±122.3)分,平均睡眠効率は75.0(±17.6)%であった.ADLが高いほど,在床時間が短かったが,ADLと総睡眠時間や睡眠効率との関連はなかった.BPSDがある人ほど,総睡眠時間が少なく,睡眠効率が低く,入眠潜時と中途覚醒時間は長かった.

     BPSD出現や頻度が高い認知機能障害のある高齢者は睡眠障害を伴っている可能性が示唆された.本研究の結果は,認知症や認知機能障害のある高齢者のよりよい睡眠へのケアを検討するための一助となると考える.

  • サブレ森田 さゆり, 杉浦 彩子, 原沢 優子, 山田 紀代美
    2018 年 22 巻 2 号 p. 40-46
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

     近年,中等度以上の難聴は補聴器の使用が推奨されるが,自覚に乏しい高齢者が多い.また,糖尿病は難聴の危険因子のひとつとして知られているが,臨床的にあまり注目されていない.

     本研究の目的は,高齢糖尿病患者において,問診,指こすり法,純音聴力検査よる聴力評価を行い,高齢糖尿病患者における難聴の割合を調査すると同時に,指こすり音聴取法を用いた中等度以上の難聴スクリーニング法の有用性について検討することを目的とした.対象者は,高齢糖尿病患者150人.平均年齢は75.1±5.8歳であり,中等度以上の難聴の該当は49人(32.7%)で難聴がある群では有意に高齢で配偶者のない頻度が高かった.指こすり法による難聴の該当は,61人(40.7%)であった.難聴の自覚や他者からの難聴の指摘といった問診による難聴の頻度はそれよりも低かった.

     中等度以上の難聴と指こすり法による難聴の感度は,71.4%,特異度74.3%で,問診よりも感度は高かったが,特異度は低かった.

     高齢者における指こすり法は,簡便で,問診に比較してより客観的という点から高齢者の中等度以上の難聴スクリーニングに適していると考えられた.

資料
  • 佐々木 八千代, 白井 みどり
    2018 年 22 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

     施設でのシーティングの普及に向けて,シーティングを実践している介護保険施設に勤務する看護職,介護職および理学・作業療法士,各1人ずつを対象に,シーティングに対する認識を明らかにした.

     介護老人福祉施設4施設,介護老人保健施設3施設の計7施設から協力を得た.施設がシーティングを始めたきっかけは,姿勢の傾き,褥瘡,身体拘束をしたくない,拘縮により座位が困難などであった.対象者が認識しているシーティングの効果は,高齢者への効果,職員への効果,家族・施設運営への効果に分類され,高齢者への効果として姿勢の傾きが改善されたことや褥瘡の減少などを挙げていた.

     シーティングを実践している施設では,不自然な座位姿勢によって生じる高齢者への影響に危機感をもっており,理学・作業療法士が中心となってシーティングを推進していた.また,高齢者だけでなく職員にとってもシーティングは効果があると実感していた.

  • 松井 美帆
    2018 年 22 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究では,医療施設における高齢者看護の質評価指標について検討を行った.17領域80項目の質指標候補について,RAND/UCLA適切性評価法により専門家パネルとして9人の老人専門看護師を対象に,郵送法による2回の質問紙調査を行った.各項目について9段階評価を行った結果,1回目評価では中央値7以上の適切が80項目中78項目,4~6の中間が2項目,1~3の不適切は認められなかった.2回目評価についても同様に17領域80項目について評価を行ったところ80項目すべてにおいて適切であった.また,7以上の割合が多かった領域として褥瘡予防,包括的アセスメント,疼痛マネジメント,せん妄,身体抑制,退院支援が挙げられた.

  • 千葉 由美, 北川 公子, 山田 律子
    2018 年 22 巻 2 号 p. 60-69
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    【目的】高齢者における胃ろう離脱のためのケアプロトコールの構成項目に対する看護師の理解度に関する評価指標の信頼性・妥当性の検証を行った.

    【方法】2008年11月~2009年1月に療養病床を有する病院,介護老人保健施設の看護師を対象に,経口開始の判断基準,フェースシート,アセスメントシート,ケアシートを構成する94項目の理解度に関して自記式質問紙調査を2度行い,回答は4段階のLikert Scaleで求めた.項目分析,および信頼性検証に再テスト法,I-T相関分析,Cronbach’s α係数を求め,妥当性検証として内容妥当性,既知グループ法を用いた構成概念妥当性を検証した.調査は千葉大学看護学部倫理審査委員会の承認を受け実施した.

    【結果】有効回答数は389人,各項目の平均値,標準偏差,尖度,歪度より除外項目はなかった.再テスト法では全項目で有意な相関がみられ,I-T相関分析でもr=0.424~0.914で除外項目はなく,Cronbach’s α係数は0.776~0.982であった.内容妥当性,構成概念妥当性も確認された.

    【考察】胃ろう離脱のためのケアプロトコールの構成項目の理解度評価指標について,信頼性・妥当性が得られた.将来これらを用いた教育,実践介入による効果検証研究等の必要性がある.

  • 簑原 文子
    2018 年 22 巻 2 号 p. 70-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,認知症高齢者の胃ろう造設を代理意思決定した家族が,造設から看取り後まで,胃ろうに対してどのような心理的変化をたどるのかを明らかにすることである.胃ろう造設を決定し,看取りまでを経験した家族7人を対象に,半構成面接法を実施し修正版グラウンデッド・セオリーを用いて分析した.家族は,造設時,胃ろうは<ひとつの食形態>であり<胃ろうにするのは自然なこと>と【延命ではなく自然な経過】としてとらえていた.しかし,被介護者や家族自身の心身の変化が生じるなかで,<胃ろうによって生かされている命を実感>するとともに,<介護生活漂流感>を抱いていた.そして,最期が近づくにつれ<命を託されているような切迫感>のなかで【まざまざと感じる延命の念】を大きくしていた.看取り後は<最期まで看取りきれた安堵感>や<できるだけの介護をやりきった達成感>を得ながらも,<枯れるような最期にしてあげられなかった後悔>を抱いていた.胃ろうを造設した後,終末期に至った際の胃ろうから注入する栄養剤の減量・中止の選択は,家族にとって被介護者の命を断つような感覚を抱かせるものであり,医療者は家族がその選択を受け入れることができるよう,看取りへのケアを含む支援をしていく必要性が示唆された.

  • 清田 明美
    2018 年 22 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,独居の要介護後期高齢者が,ADLが低下していくなかでどのようなことを日常生活上の困難ととらえ,その困難に対してどのように対処しようとしているのかを明らかにすることである.対象は,訪問看護を利用中の独居の要介護2~4の後期高齢者3人とし,参加観察と半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.

     3人の困難は,自身の身体の変化に起因するものとして,思いどおりに活動ができない困難,思いどおりに体調をコントロールできない困難,生きる意味を見いだせない困難が,他者の介入に起因するものとして,考えが異なっても支援を受け入れざるを得ない困難が見いだされた.これらの困難への対処は,あきらめたり妥協したりするものが多かったが,できる範囲を調整し,試したり工夫したりするなど,よりよい状況を見いだす対処もみられた.一方で,身体に負担をかけるといった対処もとっていた.

実践報告
  • 林 真二, 百田 武司
    2018 年 22 巻 2 号 p. 88-96
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    【目的】閉じこもり高齢者に対する訪問型介護予防複合プログラムの介入効果を検討した.

    【方法】閉じこもり高齢者8人を対象に運動器・口腔機能向上,栄養改善を併用した複合プログラムによる訪問,電話介入を各4回実施した.介入前後,介入終了3か月後に生活機能測定,外出に対する自己効力感,精神健康状態,主観的健康感,外出状況に関して評価した.

    【結果】運動器機能の開眼片足立ち(左・右),口腔機能の反復唾液嚥下テスト,オーラルディアドコキネシス(/pa/・/ta/・/ka/)は介入後改善した(p<0.01).外出に対する自己効力感(p<0.05),精神健康状態(p<0.05),主観的健康感(p<0.01)も介入後上昇した.外出頻度は8人中5人(62.5%)が上昇,介入終了3か月後も維持できた.握力,栄養評価のBMIは介入後の有意な変化がなかった.

    【結論】訪問型介護予防複合プログラムによる介入にて運動器・口腔機能,心理社会的側面で維持・向上が図れた.

委員会報告
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