老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
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原著
  • 大友 晋, 亀井 智子
    2026 年30 巻2 号 p. 34-43
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/21
    ジャーナル フリー

    【目的】「身体拘束外し多因子介入プログラム(以下,MIN-PR)」を開発・実装し,実装アウトカムである脳神経病棟看護師(以下,看護師)の採択,実行可能性,適切性,受容性,価値観,優先度を評価した.

    【方法】MIN-PRは,身体拘束や認知症ケアに関する看護師への教育介入,多職種チームアプローチ,身体拘束の代替援助で構成した.老人看護専門看護師が看護師28人に介入した.その後,実装アウトカムについて10段階評価および半構造化面接を行い,分析は記述統計および内容分析を行った.

    【結果】実装アウトカムである優先度(5.0),採択(5.1)が低値であり,受容性(8.4),適切性(7.4),価値観(7.2)は高値であった.内容分析では「身体拘束を外す援助を実施する」(適切性),「業務が優先される」(優先度)などのコードが抽出された.

    【結論】MIN-PRの実装により看護師が身体拘束を外す援助を実践することができたが,業務が優先される組織風土もあるため,現場の状況に沿ったMIN-PRに修正していくことが必要である.

  • 食事摂取に関連する生活背景に焦点を当てて
    七戸 翔吾
    2026 年30 巻2 号 p. 44-53
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/21
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,通所介護を利用し,サルコペニアを有する要支援・要介護高齢者におけるサルコペニアの摂食嚥下障害(sarcopenic dysphagia:SD)の関連要因を明らかにし,予防・改善に向けた支援の示唆を得ることである.

     通所介護を利用する,地域在住の要支援・要介護高齢者78人を対象者とした.身体機能や栄養状態,認知機能,口腔・嚥下機能,食事摂取に関連する生活背景についてデータを収集し,χ2検定,Mann-WhitneyのU検定,ロジスティック回帰分析を実施した.

     対象者78人のうち,サルコペニアの者は49人(62.8%),SDの者は13人(16.7%)であった.サルコペニアの者49人におけるSDの関連要因として,年齢(OR:1.489, 95% CI:1.053-1.597),舌圧(OR:0.92,95% CI:0.557-0.973),食品摂取多様性得点(OR:0.85, 95% CI:0.264-0.959)が抽出された.

     サルコペニアを有する要支援・要介護高齢者におけるSD予防には,食品摂取多様性や舌圧の維持・向上に向けた生活指導や指導内容を継続できるためのアプローチが必要であることが示唆された.

資料
  • 宮本 大樹, 中澤 明美
    2026 年30 巻2 号 p. 54-62
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/21
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,病棟看護師が捉える高齢慢性心不全患者が在宅で自己管理を行ううえでの問題と,その対応を明らかにすることである.21人の病棟看護師へ半構造化面接を行い,質的記述的に分析した結果,問題として,【長年の生活習慣を変えることは難しい】など7カテゴリー,問題に対する対応として,【患者・家族が理解しやすく管理が容易な方法に変更する】など8カテゴリーを得た.病棟看護師は,心不全に対する正しい知識の獲得を目指し,生活管理の注意点などをわかりやすく説明しており,ときには危機感の薄い患者・家族に対し,生活管理の不徹底が重篤な結果をもたらすと認識させ,心不全の重大性を自覚させる介入をしていた.一方で,残りの人生をどのように生きたいか,アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を意識した関わりを行うと同時に,いままでの趣味活動や習慣化している行動は可能な限り継続できるような代替案を提示するなど,成人期の患者とは異なった高齢慢性心不全患者ならではの支援を行っていることが明らかになった.

  • 阿部 真純, 善生 まり子, 林 裕栄, 丸山 優
    2026 年30 巻2 号 p. 63-71
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/21
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,特別養護老人ホームにおいて認知症高齢者の,易怒・興奮を緩和するための介護職員との連携による看護師の実践を明らかにすることである.特養の看護師10人を対象に個別の半構造化インタビューを行い,帰納的方法を用いて分析を行った.看護師の実践として【居住スペースで認知症高齢者や介護職員の普段の様子を観察する】【介護職員がもつ認知症高齢者の日常生活の状況に関する情報を活かして共に易怒・興奮の原因を探る】【認知症高齢者の易怒・興奮の状態とその場の状況に応じて介護職員と共に対応する】【認知症高齢者の易怒・興奮と向き合えるように介護職員を精神的に支える】【認知症高齢者の易怒・興奮の緩和が困難な機会をとらえて介護職員の援助技術の向上を図る】の5カテゴリーが抽出された.看護師の実践は,介護職員と連携しながら易怒・興奮の原因を探り,介護職員の援助技術が向上するようサポートし,共に易怒・興奮の緩和に取り組んでいることが示唆された.

  • 佐藤 清美, 南﨑 眞綾, 土肥 眞奈, 叶谷 由佳
    2026 年30 巻2 号 p. 72-80
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/21
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,急性期病院の一般病棟において,認知症高齢者の家族に対して積極的・継続的に関係性を築こうとする看護師のかかわり行動について,因子構造を明らかにすることである.1施設の看護師302人を対象として無記名自記式質問紙調査を実施し,155人の看護師から有効回答を得た.探索的因子分析を行った結果,家族へのかかわりは,【家族を患者の重要な支援者として認識したかかわり】【家族を支援の対象として認識したかかわり】【家族の認知症ケアへの理解と感情表出を促すかかわり】【患者の安心・安全のための家族の付き添い依頼と個別事情への柔軟な対応】の4因子18項目の構造となった.【家族の認知症ケアへの理解と感情表出を促すかかわり】や【患者の安心・安全のための家族の付き添い依頼と個別事情への柔軟な対応】の得点は4つのなかで相対的に低く,家族に焦点をあてた内容の認知症ケアの教育や,倫理的取り組みの重要性について示唆を得た.

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