本研究の目的は,特別養護老人ホームで働く看護師(以下,特養看護師)による病院との連携行動の実際とその評価,および連携行動の評価に関連する要因を明らかにすることである.全国の2,000施設の特養看護師を対象に郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施し,252人を分析対象とした.
特養看護師による連携行動の評価(以下,「連携行動評価尺度」)と特養における看護実践能力(以下,「NCSI」)との相関分析の結果では,すべてにおいて正の相関(r<0.2~0.5)を認めた.このことから,特養において高い看護実践能力を発揮している看護師は,施設外の病院との連携においても連携行動をよく行えていることが示された.
連携行動の評価に関連する要因は,「連携行動評価尺度」下位尺度合計得点の上位,下位の2群を従属変数とし,多重ロジスティック回帰分析を行った.分析の結果,連携行動の評価に関連する要因として,特養看護師の背景,および「NCSI」から計7項目が抽出された.このうち「NCSI」〔第2因子:多職種と連携する力〕は,特養看護師による病院との連携行動の評価に最も影響を及ぼすことが示された.一方で,〔第2因子〕の平均得点は「NCSI」4因子中で最も低く,特養看護師の多職種と連携する力を高める必要性が示唆された.
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