2005 年 10 巻 1 号 p. 148-154
本研究は,ケアスタッフが遭遇した夜間における認知症高齢者の行動・精神症候群の出現状況,および,行動・精神症候群に対するケアスタッフの捉え方を明らかにすることを目的とした.対象者は,夜間の認知症高齢者に直接関わるケアスタッフ441名であり,認知症高齢者の行動・精神症候群に関する質問紙調査を行った.その結果,11項目の行動・精神症候群のうち,夜間に遭遇したケアスタッフが多かったのは,「脱衣する」,「暴言・暴力をする」,「便こねする」であり,「破損をする」を除く10項目に半数以上のケアスタッフが遭遇していた.また,行動・精神症候群に対してケアスタッフは,認知症高齢者の生理的ニーズや行動・精神症候群が引き起こされるきっかけを捉えていた.今後は,日中との違いや実際の認知症高齢者の行動・精神症候群との関連を検討する必要性が示唆された.