抄録
本研究の目的は,看護者が援助を行う際にその主体性をとらえて援助を行うことに困難を感じる高齢者の主体性のありようを明らかにすることである.対象者は3名の高齢入院患者であり,看護援助を行いながらデータ収集を行った・援助過程のプロセスレコードの記録を質的・帰納的に分析した.その結果,看護者がその主体性をとらえて援助を行うことが難しいと感じる高齢者の主体性のありようとして,【影響を受けて存在しつつ行おうとする】,【自然な自分を保とうとする】,【自分で行う・行おうとする/自分で伝える・伝えようとする】, 自分のために行い楽しむ】,【周囲の状況や看護者に応ずる・合わせる・任せる】,【看護者との関わり合いによって自己を認め,自分なりに行う】の6つが明らかになった.看護者は,高齢者の主体性の発揮の仕方に影響する要因を理解し,高齢者が他者との関係を通して主体的に依存しながら生活を構築する視点をもって関わる必要性が示唆された.