老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
不同意メッセージへの気づき : 介護職員とのかかわりの中で出現する認知症の行動・心理症状の回避にむけたケア
伊東 美緒宮本 真巳高橋 龍太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 15 巻 1 号 p. 5-12

詳細
抄録

認知症の行動・心理症状はさまざまな要因が絡み合って出現するが,介護職員のかかわりに対する反応として症状が現れることが少なくない.そこで介護職員がかかわったあとに何らかの徴候(sign)が現れる可能性があると考え,「介護職員とのかかわりの中で生じる,意識的とはいえない不安・混乱・落ち着きのなさ・あきらめを示す態度や言動」を不同意メッセージと命名した.不同意メッセージの特徴を明示することと,不同意メッセージが認められたときに,BPSDを回避することのできる介護職員の対応を明らかにすることにした.《服従》,《謝罪》,《転嫁》,《遮断》,《憤懣》という5つの不同意メッセージが抽出され,特に《服従》,《謝罪》,《転嫁》の3つは認知症高齢者の拒否的行動と捉えられにくいため,介護職員に気づかれないままにBPSDに至ることがあった.介護職員が,早い段階でこれらのメッセージに気づき,『ケアの方向性を変更する』,『状況が変化するのを待つ』,『責任転嫁のための言い訳を提案する』ということができた場合に,BPSDへの移行を防ぐことができていた.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人日本老年看護学会 掲載内容の無断転載を禁じます
前の記事 次の記事
feedback
Top