抄録
本研究は,要介護高齢者178名(男性71名,女性107名,平均年齢78.5±8.7歳)を対象に,座位での下肢荷重力と大腿四頭筋筋力を測定し,日常生活活動能力との関連を検討した.その結果,下肢荷重力と大腿四頭筋筋力は,男女ともに今回評価したFunctional Independence Measure Motor sub scores(FIM-M),およびすべてのFIM-M下位項目測定と有意な相関が認められ,要介護高齢者の下肢機能を把握する評価尺度としての妥当性が示された.ただし,その相関係数から関連の強さを判断すると,すべての項目で下肢荷重力のほうが大腿四頭筋筋力よりも関連が強かった.これらの結果から,従来から下肢機能の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力よりも下肢荷重力のほうが,要介護高齢者の日常生活活動能力をより反映することが示唆された.