老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
実践報告
認知症高齢者への園芸活動が認知機能面にもたらす効果
園芸経験の有無別にみた5cogと園芸活動に伴う言動・日常生活状況からの検討
寺岡 佐和小西 美智子小野 ミツ宮腰 由紀子
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 21 巻 1 号 p. 59-68

詳細
抄録

 本研究は,施設入所の認知症高齢者14人を対象に4か月間で計8回の園芸活動を実施し,対象者の園芸経験の有無別に,園芸活動が認知機能面へもたらす効果を明らかにすることを目的とした.認知機能面の効果は,4か月間の園芸活動開始前(開始前),開始2か月後(中間),開始4か月後(終了後)の3時点で行ったファイブ・コグ検査(5cog)と園芸活動に伴う言動,日常生活状況から評価した.

 園芸経験の有無別に5cogをみると,経験者の平均素点は全項目で中間が最も高く,合計素点と位置判断の中間は開始前と終了後に比べ有意差がみられた.このことから,経験者への園芸活動は認知機能面に効果をもたらすが,中間以降の活動は認知機能への働きかけを持続できなかった可能性があり,経験者向けのプログラム検討の必要性が考えられた.

 一方,未経験者では合計素点,位置判断,時計描画,共通単語の平均素点は開始前が最も高く,中間および終了後に比べ有意差がみられた.しかし,単語記憶の平均素点は経時的に上昇し,有意差がみられたことや,園芸活動に伴う言動および日常生活状況から,未経験者への園芸活動は記憶・学習機能の賦活化に効果的である可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人日本老年看護学会 掲載内容の無断転載を禁じます
前の記事 次の記事
feedback
Top