抄録
本研究は沖縄県におけるひとり親世帯の生活問題を就業,子育て,住宅という視点から分析することを目的とし,「ひとり親世帯等実態調査報告書」の分析と,ひとり親世帯の生活に関するアンケートおよびインタビュー調査を実施した。 沖縄県におけるひとり親世帯の多くは,乳幼児を抱える母子世帯であり,離婚を機に世帯主として家計を支えながら子育てを両立しなければならないなど就業と保育の両立に関する問題が深刻であった。 子の成長段階によって,ひとり親世帯が抱える生活問題は変化した。小学校低学年以下の子を抱える場合には,平日昼に勤務する職業を得ようとする傾向があるものの,希望する職に就くことが困難である例も多く,希望する職を得られた場合でも,親族のサポートを利用しながら就業と保育を両立させていた。子が高学年になると,親の就業時間はより柔軟になり,より良い就業機会を得るために資格取得講座に通う親も確認された。