地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
エスニック・ビジネスの立地要因
コミュニティ研究から経済地理学的研究へ
片岡 博美
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 8 巻 2 号 p. 219-237

詳細
抄録

 本稿では,エスニック・ビジネスの立地要因について,日本におけるブラジル系ビジネスの,同一エスニック集団の「異なる地域」における立地展開の差異,同一エスニック集団の同一地域における「異なる時期」における立地展開の差異,展開される業種ごとの差異の3つの側面から検討し分析した。その結果,エスニック・ビジネスの立地要因は,エスニックな要素が大きく関わる「エスニック立地因子」と,外部一般経済と同様の,いわゆる一般因子に近い「非エスニック立地因子」の2種があること,そしてこれら2種の立地因子が組み合わさりエスニック・ビジネスの立地や集積がもたらされることを明らかにした。また,本稿では,エスニック・ビジネスをとりまく「ホスト社会における機会構造」もあわせて検討し,エスニック集団のホスト社会への同化やエスニック集団の生活空間の縮小といった「負の機会構造」と,エスニック集団の集住や核店舗・核施設の存在といった「正の機会構造」の存在を提示し,これら2つの機会構造のバランスにより,エスニック・ビジネスは盛衰し,また,その立地場所や集積の様態を変化させることを明らかにした。

著者関連情報
© 2015 地理空間学会
前の記事 次の記事
feedback
Top