2024 年 16 巻 1 号 p. 35-50
これまでの先行研究では、海外駐在員が使用する言語スキルと現地での管理および適応との関係、ならびに従業員間の信頼が組織のパフォーマンスに与える影響について検討されている。しかし、言語の面では、特に現地の言語を通じてどのようにして現地社員(HCN)が駐在員に対する信頼を高め、効果的に信頼関係を築くのかについては、十分に研究されていない。このギャップを埋めるために、本研究では中国で働く6名の駐在員と11名のHCNに対して、半構造化されたインタビューを詳らかに実施した。その結果、本研究は双方の視点を結びつけることにより、駐在員の現地言語能力とHCNの社内言語(英語)能力が相互に補完し合い、独自の異文化間コミュニケーションスタイルを形成し、それが信頼構築に影響を与えることを明らかにした。これらの発見は、多様な異文化集団の言語能力を考慮し、円滑なコミュニケーション環境を構築する重要性を強調しており、言語能力の差異によって特徴づけられる異言語間の相互作用における信頼構築を包括的に理解するのに役立っている。