2020 年 21 巻 1 号 p. 1-14
本研究は,NPOでの活動を通じて若年無業者支援を行う中高年男性の活動動機およびジェネラティヴィティとの関連に焦点を当てた。活動動機は中年期以降のアイデンティティの課題と共通性があり,活動動機はジェネラティヴィティとの関連があるとの推測により,質問紙調査を行った。質問紙調査は,35歳から75歳の男性支援者に対して行われ,有効回答321名の回答が得られた。活動動機を測るために作成された尺度について因子分析を行った結果,5因子を抽出した。因子名は“支援機関NPOでの展望”,“社会貢献への関心”,“支援活動への関心”,“セカンドライフへの期待感”,“過去体験活用への関心”と命名され,それら5因子のうち一部に,中年期以降のアイデンティティ深化と共通性をもつ可能性が示された。ジェネラティヴィティの表れ方は中高年男性の年代により異なり,現役年代は利他的意識,そして定年後の年代は自己志向であった。