抄録
中性の錯形成試薬とカウンターイオンを用いるイオン対抽出法では,選択的分離を達成するために,選択能や分離能に優れた高機能錯形成剤を用いることが重要な要素の一つとなる。本研究では,金属イオン間分離のために,アミンとカルボニル化合物から合成されるシッフ塩基型配位子に着目し,詳細なイオン対抽出挙動解析により,配位子の化学構造が抽出選択性や抽出能に及ぼす効果について系統的に比較検討した。得られた結果から,配位子の化学構造を変化させることで,物質認識能を十分に制御可能であることが示唆された。さらにCu2+ およびNi2+ に対して非常に高い選択性を有する錯形成剤を開発することができた。また,多孔質ケイ酸塩の一つであるMCM–41 を利用した金属イオンの吸着挙動について検討を行った。錯形成剤としてアセチルアセトンを用いたところ,Cd2+ やPb2+などの金属イオンが無電荷錯体としてMCM–41 に定量的に吸着することを見出した。さらに,MCM–41 に有機分子が吸着することを利用して,テノイルトリフルオロアセトンをMCM–41 に担持した金属イオン吸着材を合成し,金属イオンの吸着挙動を検討した。その結果,Cu2+ やZn2+ が吸着分離出来ることがわかり,MCM–41 が溶媒抽出法等で用いられる高機能な錯形成剤の担体として有用であることを見出した。