日本イオン交換学会誌
Online ISSN : 1884-3360
Print ISSN : 0915-860X
ISSN-L : 0915-860X
層状無機イオン交換体の剥離と応用
佐々木 高義
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 19 巻 2 号 p. 81-87

詳細
抄録

イオン交換反応を活用することにより様々な層状ホスト化合物を剥離ナノシート化した。陽イオン交換性の層状遷移金属酸化物は酸処理により層間のアルカリ金属イオンを水素イオンに交換した後, 嵩高い有機イオンを含む水溶液と反応させることにより単層剥離できる。一方陰イオン交換性の層状複水酸化物は層間のCO32-をNO3-またはClO4-に交換した後, ホルムアミドを作用させると, 膨潤・剥離する。得られた単層ナノシートは分子レベルの厚さを持った2次元機能ブロックであり, 溶液プロセスにより様々に累積, 複合化することにより, 多彩なナノ構造材料の合成を行うことができる。ナノシートが分散したコロイド溶液に電解質を加えると, ナノシートはカウンターイオンを間に挟み込んで再積層し, ナノ複合体の羊毛状沈殿を生じる。またナノシートコロイド溶液と反対電荷を持った高分子電解質溶液に基板を交互に浸漬することにより, ナノシート多層膜をレイヤーバイレイヤー累積することができる。これらのプロセスによってナノシートを様々なイオン, 錯体, 有機物とナノレベルで複合化できるため, 蛍光材料や光触媒, 誘電体など多彩な機能性材料の合成を行うことができる。

著者関連情報
© 日本イオン交換学会
前の記事 次の記事
feedback
Top