日本イオン交換学会誌
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フミン質のイオン交換樹脂の反応性に与える影響
安居院 渡近藤 正彦阿部 正彦荻野 圭三
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1992 年 3 巻 2 号 p. 61-68

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抄録

イオン交換樹脂は純水製造において必要不可欠であるが, この樹脂に水中の微量有機物が吸着した場合, イオン交換反応が阻害されることが示唆されている。本報では, アニオン交換樹脂にフミン質をバッチ法で吸着させ, これをカチオン交換樹脂との混床にし, 塩化ナトリウムの希薄溶液を高流速で通液し, 通液前後の塩素イオン濃度を測定した。この測定結果からイオン交換の反応性を示す物質移動係数を算出し, フミン質の樹脂に与える影響を検討した。その結果, フミン質の純水溶出成分の強塩基性イオン交換樹脂上での吸着量は, 水酸化ナトリウム溶出成分の該樹脂上での吸着量より大きくなる。吸着したフミン質の純水溶出成分はイオン交換の反応性にはほとんど影響を与えなかった。ゲル型樹脂はMR型樹脂より高い物質移動係数を与えた。水酸化ナトリウム溶出成分の吸着量が増加すると物質移動係数は顕著に低下することが分かった。水処理において安定した脱塩能力を維持するためには, イオン交換樹脂がイオン性の高分子量有機物に汚染されるのをさけることが重要であることが示唆された。

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