日本イオン交換学会誌
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ハイドロタルサイト様化合物を用いた無機陰イオン交換膜の研究
井浦 克彦小倉 誠神崎 〓田中 龍夫
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1994 年 5 巻 2 号 p. 32-39

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抄録

陰イオン交換性を示す無機イオン交換体を用いて陰イオン交換膜の作製を試みた。陰イオン交換体として知られているハイドロタルサイト様化合物を陰イオン導電体として, バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを用いた。ハイドロタルサイト様化合物としては交換体中で吸着される陰イオンの対イオンである3価イオンとしてアルミニウムイオンを共通とし, 主骨格を形成する2価イオンとの組み合わせとしてMg (II) -Al (III) , Ni (II) -Al (III) , Co (II) -Al (III) の三つの系を取り上げ, それぞれを対応する塩化物水溶液から合成した。合成したハイドロタルサイト様化合物を粉末にし, ジメチルフォルムアミドに溶解したポリフッ化ビニリデン溶液と混合後, ガラス板上で乾燥し, 膜形成した。作製した膜の抵抗は0.1mol・dm-3 NaCl溶液中で1cm2あたり200~700Ωであった。NaCl活量1.0×10-3~1.0mol・dm-3の範囲で濃淡電池を形成し, 塩化物イオン (Cl-) の輸率を計算したところ室温では0.8程度であったが, 80℃ではいずれの膜も0.94と言う高い価を示し, 理想的な陰イオン交換膜 (有機陰イオン交換膜で0.99 (実測値, 室温) ) に近い値であった。

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