2011 年 13 巻 1 号 p. A1-A10
本研究の目的は、視覚障害疑似体験を活用した設計教育プログラムを実施し、その教育的効果について検討することにある。本プログラムでは、建築系学生を対象に視覚障害疑似体験を実施した。そして、上記の経験をふまえて、視覚障害者にとっての使いやすさなどの観点から学生が設計した住宅作品について自己評価させ、改善案を提示させた。学習効果を検討するために、受講前後のアンケート調査と住宅改善案の分析をおこなった。その結果、視覚障害者のための建築的工夫についての知識に関する学生たちの意識の向上および視覚障害者に対して学生たちが抱くイメージの向上という効果があることが確認された。また、学生により自作品に対する様々な問題点の指摘、および改善案の提案がなされており、設計教育の中で疑似体験を取り入れることの有効性が示された。