現在、日本の漁業集落は、約半数の地域が大規模地震や津波等の災害に対して脆弱である。本研究では、高齢者避難リスク軽減及び高台移転について、今後の方向性を示唆する知見を得ることを目的としている。調査は、①高齢化が進んでいく日本の漁村集落の一つとして、三重県度会郡南伊勢町慥柄浦地区の高齢者を対象に、災害発生時の避難に支障を来すと考えられる要素の抽出、②高台移転の必要性を判断する基準検討の一つとして、和歌山県串本町に所在する4か所の漁村集落を対象とした、避難経路の現地踏査及び検討、の2ステップを行った。①では「周辺住民との共助」「分かりやすい表示」「歩車分離の必要性」、②では「避難経路の障壁を解消することで高台移転の必要性が低減できる」という結論が導かれた。