社会言語科学
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日本語と韓国語の「ほめの談話」
金 庚芬
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2007 年 10 巻 1 号 p. 18-32

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抄録

本稿は,日本と韓国の大学生60組(120名)の日常会話データを用いて,「ほめの談話」の流れを分析し,ほめの前後に行われるやり取りの特徴を明らかにしたものである.1.「ほめの談話」の数は,韓国語のほうが日本語より多い.しかし,一つの「ほめの談話」における発話文数は,日本語のほうが韓国語より多い.2.先行連鎖は韓国語より日本語のほうに多く現れた.とりわけ,相手から導入された話題を相手へのほめにつなげる傾向が多い.一方,韓国語では先行連鎖なしで「ほめ」が行われる傾向が日本語より強い.3.後続連鎖では,日韓ともにほめ手が話題を維持しながら主導している.また,両言語母語話者は相手を一度ほめると,再度ほめる傾向が見られる.また,ほめられた人が後続連鎖を主導する場合,日本語では話題維持が多いのに対し,韓国語では話題転換が日本語より多く見られた.4.一つの「ほめの談話」における発話文数に日韓の差が現れたのは,先行連鎖の有無,ほめに対する返答の長さ,後続連鎖における話題転換の仕方の違いに起因することが分かった.

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© 2007 社会言語科学会
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