2011 年 14 巻 1 号 p. 48-60
本稿では,複数の活動が並行している状況において,一方のグループから他方への活動の割り込みが生じた場面を対象とした事例分析を行う.分析の結果,1.割り込みのためのポインティングなどの装置の使用によって,割り込まれる活動にとっての「周辺性」が利用される,2.割り込みの際,割り込まれる側の活動の文脈は必ずしも重視されているとはいえず,割り込む側の活動の文脈も視野に入れることが重要である,3.割り込み活動の開始後,両グループのすべての参与者がこの活動に全面的に関与するわけではなく,割り込み前の活動の継続や,割り込み活動からの素早い離脱と元の活動への復帰が見られる,ということが明らかになる.最後に,Goffmanの諸概念を用い,これらの知見の理論的な意義について議論する.