社会言語科学
Online ISSN : 2189-7239
Print ISSN : 1344-3909
ISSN-L : 1344-3909
懸念的被透視感が生じる際に手がかりとなる情報の特徴 : ボードゲームを用いた検討(<特集>対人コミュニケーションに関する定量的実証研究)
太幡 直也
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 15 巻 1 号 p. 4-16

詳細
抄録
懸念的被透視感は,気づかれたくない事柄を他の人に気づかれているかもしれないと感じる感覚である.本研究では,懸念的被透視感の手がかりとなる情報の特徴について検討した.44名の実験参加者が,2人ペアで,相手に手の内を隠す必要があるボードゲームを行った.サイコロを相手に見えないように振り数を宣言するようになっていたため,サイコロの目を偽ることができた.実験参加者には,サイコロを振るたびに,懸念的被透視感を感じたか否かと,何を手がかりに懸念的被透視感を感じた(感じなかった)のかに回答するように求めた.相手との親密度の要因が操作された.28名の実験参加者が友人と,16名の実験参加者が初対面の者とボードゲームを行った.その結果,"自分の話し方","自分の宣言したサイコロの目","状況を踏まえた予測","自分の落ち着きのなさ"が,懸念的被透視感の手がかりとなりやすい情報であることが示された.多くの場合で,懸念的被透視感の手かがりとなる情報は欺瞞者の振る舞いに関する一般的信念と類似していた.さらに,相手との親密度が,懸念的被透視感の手がかりとなる情報に影響する可能性があることが示唆された.
著者関連情報
© 2012 社会言語科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top