社会言語科学
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子どもの言語問題 : 国語嫌いについて(<特集>日本の言語問題)
島村 直己
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1999 年 2 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
本稿は,子どもの言語問題について,主に子どもの国語嫌いの実態について論述した.要点をまとめると,以下のようになる.1.子どもの伝統的な言語問題として,共通語教育と漢字教育の2つをあげることができる.ただし,現在では,共通語教育の比重は減じている.しかし,漢字教育の比重は変わらない.2.子どもの新しい言語問題として,読書離れ,作文嫌い,国語嫌いの3つをあげることができる.3.国語嫌いの実態に関して,小学生を対象にアンケートを行った.国語は,算数,社会,音楽に次いで,子どもにとって嫌いな教科である.また,高学年ほど国語嫌いが多くなり,女子よりも男子に国語嫌いが多い.4.国語嫌いの原因として大きなものに,また学年が上がるほど大きな原因となるものに,作文,漢字,答えのはっきりしないこと,宿題の多いこと,の4つをあげることができる.5.言語活動に関心を持つ子どもに,国語嫌いの子どもが少ないという傾向がある.6.漢字の学習負担の軽減と,子どもにとっておもしろく,そして,論理的な答えの出しやすい教材の開発の2つのことを,国語嫌いの解決のための解決策として提案した.
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© 1999 社会言語科学会
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