抄録
Alunite族鉱物AB3(XO4)2(OH)6は多くの元素を固溶し、複雑な固溶体を形成するため、正確な化学組成をはじめとする結晶化学的性質については十分な検討がなされていない。
本研究ではalunite族鉱物の組成を調べ、解説パターンを正確に測定することで結晶構造と組成の関係を議論した。その結果、Aサイト、Xサイトに固溶するイオンによってc軸長が変化し、Bサイトに固溶するイオンによってa軸長に変化がみられた。またBサイトにCu2+が固溶する場合はa、c軸長両方に変化が見られ、Vegard則を満たさないことが分かった。そこで単結晶構造解析、放射光ガンドルフィカメラを用いたRietveld解析を行った結果、Cu2+によるJahn-Teller効果が原因であることが判明した。また組成と結晶構造の関係を調べていったところ、一部のalunite族鉱物ではX線回折パターンから組成情報が得られることが分かった。