抄録
最近,浅間火山天明噴火の末期に放出されたカンラン石メガクリストを見いだした.一般的に軽石の中に含まれる普通のカンラン石斑晶と比較する.この2つのタイプのカンラン石の起源とマグマ中での滞在履歴の違いをもとに,マグマ混合の制約条件を提示する.2つのタイプのカンラン石について,それぞれの反応縁の厚さと累帯構造プロファイルが示すフェルシックマグマ中での滞在時間は,カンラン石メガクリストでは普通のカンラン石斑晶よりも3-4桁も長い.これをもとに,天明噴火の時期に火山体直下のフェルシックマグマたまりへ注入し混合して噴出物をつくったマフィックマグマの履歴とタイミングを考察する.