抄録
鳥取県若桜地域から産したヒスイ輝石岩およびその関連岩を横切るヒスイ細脈中から糸魚川石を報告しているが、それらと共存するバリウム鉱物を再度検討した結果、セルシアンとキュムリ石とが共生していることがわかった。この細脈はヒスイ輝石の長柱状結晶が主体となっており、脈中の紋斑部に糸魚川石-パンペリー石のintergrowthした共生体が見られる。セルシアン-キュムリ石の共生はその紋斑部の周縁に沿って分布している。すなわち、セルシアンとキュムリ石の平衡共存とパンペリー石の出現とから、このヒスイ細脈の生成条件を絞り込むことができた。