日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: R7-P01
会議情報

R7:地球表層の鉱物科学
流入河川および霞ヶ浦の懸濁物質の化学組成と発生のメカニズムについて
*田切 美智雄納谷 友規長島 万梨映根岸 正美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
河川では、夏期は冬期と比べ粘土鉱物分が多く、鉄分に富み、CaOに乏しい。その理由は、(1)水の張られた水田から粘土鉱物(Si,Al)が流出しやすい。(2)CaOは溶解度が低く、河川流入前に沈殿する。(3)FeOは溶解度が大きいうえ、地表面での酸化によって懸濁物質が生じやすい 。 (4)冬期は水田に水が張られておらず、粘土鉱物が流出しにくい。(5)冬期は土壌中のCaOを溶かし込んだ地下水が流出。 霞ヶ浦西浦の懸濁物質の化学的特徴と比較すると,河川の懸濁物質はSiO2やAl2O3が少なく,CaOやFeOが多い。その原因は、(1)河川の懸濁物質に含まれていたCaイオンはpH9の霞ヶ浦に流入すると石灰岩境界を越え、沈殿する。その結果、湖水の懸濁物質はCaに乏しくなる。(2)FeOは霞ヶ浦に流入すると高いpHにより沈殿し始める。その結果、湖水の懸濁物質はFeに乏しくなる。(3)中性の河川水では不溶性だったAl(OH)3はアルカリ性の湖水ではAlの親和性が増して溶解し始め、コロイド化する。その結果、湖水の懸濁物質はAlの多い粘土鉱物に変化する。底質の粘土鉱物の捲き上げも起こりやすくなる。
著者関連情報
© 2008 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top