日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: R4-01
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R4:鉱物の記載・分析
鹿児島県大和鉱山から産するバナジウム鉱物
*山田 隆小菅 康寛掬川 正純松原 聰宮脇 律郎重岡 昌子猪飼 一夫桜井 浩土井 正一
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抄録
鹿児島県奄美大島の大和鉱山は、原田石、灰バナジン石榴石、ロスコー雲母などのバナジウムを主成分とする鉱物の産出で知られる。今回、本産地を調査した結果、これら以外にもバナジウム鉱物が存在することを見いだした。 1)パレンツォーナ石(palenzonaite):マンガンの珪酸塩鉱物に埋没し、鮮紅色半透明、貝殻状断口の粒状集合体(~1mm)としてあるいはブラウン鉱の割れ目に0.5mm以下の粒状、皮膜状で産する。 2)ナビア石(nabiasite):ブラウン鉱を切る、幅1mmの脈として菱マンガン鉱やマンガン珪酸塩鉱物と共にみられた。 3)東京石(tokyoite):マンガン珪酸塩鉱物の割れ目に集合し数ミリメートルの範囲に小豆色皮殻状でみられた。 4)2種類のMn-V含水酸化物:いずれも赤褐色の微細な粒として産し、それらの化学組成は、一つはほぼMnV2O6•4H2Oに近く、既知の鉱物ではansermetiteに相当、他はほぼMn2V2O7•2H2Oに近く、既知の鉱物ではfianeliteに相当する。しかし、X線回折値は両者とも既知のものとは異なる。  他に、肉砒石(sarkinite, Mn2(AsO4)(OH))といった二次的に生成されたヒ酸塩鉱物も確認している。
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© 2008 日本鉱物科学会
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