抄録
本研究では,蒸着法や還元法で金の微粒子を作成し,分光測色計による測色やフィールドエミッション走査電子顕微鏡による観察を行った.また,天然の金鉱石試料との比較を行った.いずれの場合も金は数十~数百nmのサイズの微粒子あるいはその集合体であった.
粒径と色には関係があり,紫は10-15nmの球状,青は10-20nmの球状,灰色になると粒径が120-360nmと大きくなって凹凸のある金平糖状の形状を呈する.茶色になると形状は変わらないが粒径が大きくなり,平坦な面が形成されると金色を呈するようになる.一方,鹿児島県菱刈鉱山および赤石鉱山の高品位金鉱石の試料では,粒径は100-400nmと実験で作成したものと大きく変わらなかった.菱刈鉱山については形状が球状に加えて棒状に伸びた粒子が観察された.