日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2009年年会
選択された号の論文の235件中1~50を表示しています
S1:岩石─水相互作用
  • 鹿園 直建
    セッションID: S1-01
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    地下水中の主要成分(Si, Al, Na, K, Ca, Mg, Feなど)濃度は、地下水と反応する岩石(鉱物)の種類、水-岩石反応の進行度、鉱物の溶解速度、沈殿速度、反応比表面積、地下水の流速などによって決められる。岩石-水反応過程における水質の変化を解釈するために、地下水の化学分析を行い、この水質の場所による違いの解釈をいくつかのモデルに基づき行う。モデルとして、化学平衡論、マスバランス、反応速度論、反応速度-流動モデルを扱った。これらのモデルに基づき、玄武岩地域(富士山地域)、花崗岩地域(筑波山地域)での標高の違いによる地下水水質変化の解釈を行う。また、反応速度-流動モデルに基づき地下水滞留時間の推定を試みる。モデル計算値が分析値から外れる原因として人為的汚染が考えられるので、この人為的汚染の地下水水質に対する影響についても考える。
  • 太田 岳洋, 服部 修一, 菊地 良弘
    セッションID: S1-02
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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     土木工事で発生する掘削ずりからの重金属類等の溶出が問題となる事例が近年報告され,東北新幹線八甲田トンネルでも掘削ずりからのこれらの溶出が懸念された.このため,当トンネルでは岩石の溶出特性評価により掘削ずりを分別し,酸性水等が溶出しうるずりは「管理型土捨場」に処分した.この「管理型土捨場」からの浸出水について,水質のモニタリングを行った.処分場内の掘削ずりの岩石学的特徴と浸出水水質から処分場内部で生じた岩石-水相互作用について検討した結果,浸出水の主要イオンモル濃度の比は黄鉄鉱と斜長石の溶解により説明できることがわかった.一方,ずり中では主に黄鉄鉱の不純物として含まれると推定される重金属類等が黄鉄鉱の溶解が推定されるにもかかわらず浸出水中では非常に低濃度であることから,これらのずり処分場内部における岩石への吸着が考えられる.また,これらの検討結果をPHREEQCによるマスバランス計算で検証した.
  • 岡崎 健治, 田本 修一, 伊東 佳彦, 加藤 孝幸, 飯田 友章
    セッションID: S1-03
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    本研究では、トンネル地質調査のボーリングコアを試料として、岩石コアの観察と区分、重金属類の分析(公定法によるヒ素の含有量・溶出試験)及びXRDを行い、溶出水のpHと沸石類の量比に応じた溶出特性を検討した。検討の結果、1)ヒ素の含有量と溶出量に相関性が認められたが、含有量に比し溶出量が多いタイプと、含有量が比較的多いが溶出量は土壌溶出量基準値を超えないタイプを確認した。2)溶出水のpHは、8-10程度とアルカリ性で、含有量が少なく溶出量が高いタイプと、7-9と中-アルカリ性で含有量が少なく溶出量が高いタイプを確認した。3)XRDによる沸石類の回折強度とヒ素の溶出量には負の相関が認められた。また、沸石類の含有が多くpHが8以上の場合に溶出量は低く、沸石類の含有がないか少なくpHが8未満の場合に溶出量が高いことを確認した。
  • 藤本 光一郎, 堀家 珠紀, 中田 正隆
    セッションID: S1-04
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    本研究では,蒸着法や還元法で金の微粒子を作成し,分光測色計による測色やフィールドエミッション走査電子顕微鏡による観察を行った.また,天然の金鉱石試料との比較を行った.いずれの場合も金は数十~数百nmのサイズの微粒子あるいはその集合体であった. 粒径と色には関係があり,紫は10-15nmの球状,青は10-20nmの球状,灰色になると粒径が120-360nmと大きくなって凹凸のある金平糖状の形状を呈する.茶色になると形状は変わらないが粒径が大きくなり,平坦な面が形成されると金色を呈するようになる.一方,鹿児島県菱刈鉱山および赤石鉱山の高品位金鉱石の試料では,粒径は100-400nmと実験で作成したものと大きく変わらなかった.菱刈鉱山については形状が球状に加えて棒状に伸びた粒子が観察された.
  • 千眼 喜照, 西村 光史, 大沢 信二, 平島 崇男
    セッションID: S1-05
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    Marschall et al. (2006) は構成鉱物の化学組成とモード組成から、緑色片岩、藍閃片岩、エクロジャイト中のLi, B量を試算した。これらのデータから、スラブから脱水する流体中のLi/B比は変成度の増加とともに上昇することが判った。このデータは「Li/B比は深部流体の発生深度の指標」となる可能性を示唆する。このことを検証するために、三波川変成帯の地下20~60kmで変成した母岩と互層する石英脈から、クラッシュリーチング法により深部流体を抽出し、ICP-MS分析を行った。さらに、マイクロサーモメトリーとラマン分光法により流体包有物のキャラクタリゼーションを行った。抽出流体は複数の時期にトラップされた流体包有物の混合物であるにもかかわらず、母岩の変成度の上昇に伴ってLi/B比は、0.020(地下20km)~0.271(地下60km)と変化し、形成深度と正相関することが判った。
  • 川本 竜彦, 三部 賢治, 小野 重明
    セッションID: S1-06
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    スラブの沈み込みにともない地球内部に運ばれる炭酸ガスの多くは堆積岩に含まれていると考えられる。本研究では堆積岩と、水と炭酸ガスからなる流体との間の混和・不混和現象を観察し、堆積岩質マグマと流体の臨界終端点に与える炭酸ガスの影響を理解することを目指した。これまでの実験により、本実験で使用した組成をもつ堆積物と水との間の、臨界終端点は2.6GPaと推定している。今回の実験の結果、堆積物組成のマグマと炭酸ガスを含む水にとむ流体との臨界終端点は2.2GPaであると推定する。これは炭酸ガスが入っていない同じ系のそれより1割以上低い圧力である。これまでSiO22-H2O-CO2系でメルトと流体の間の臨界終端点が発表されている(Boettcher, 1984 Am Mineral) が、それによると炭酸ガスが入ると臨界終端点は高圧側に移動する。私たちの堆積岩組成での実験結果はこれと反対の結果である。
  • 中田 英二, 末永 弘
    セッションID: S1-07
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    CO2が地下水に溶解すると地下水のpHが低下する.われわれは長崎県池島炭鉱の海底下坑道において4本の採水孔と1本のCO2注入孔を設置し,CO2注入試験を実施した.試験では時間経過とともにpH, ORP, Fe2+, dD, dO, 一般水質とdCCO2の変化を求め,dCが顕著に変化することが明らかになった.
  • 奥山 康子
    セッションID: S1-08
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    地球温暖化対策として研究開発が進むCO2地中貯留では、長時間経過後はCO2が炭酸塩鉱物に変換されて永久的に固定されると予測している。平衡論的地化学モデリングでは,Na-Al含水炭酸塩である「ドーソン石」が大量に生成する、すなわちCO2鉱物固定に重要との結果が導かれる。一方、圧入CO2の流動を加味した反応輸送論モデリングでは、ドーソン石はかなり異なる挙動をとる。現実的な岩石システムでのドーソン石の役割にはまだ未解明の部分が残されており、それらを明らかにするナチュラル・アナログ研究が必要である。
  • 平野 伸夫, 石橋 琢也, 渡邊 則昭, 土屋 範芳
    セッションID: S1-09
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    岩石内に発達するき裂は岩石ー水反応の場であり同時に水の流動場でもあるため,岩石ー水反応ではき裂内流動状態も考慮する必要があると言える.このき裂内部流体流動を表現するためには平行平板き裂モデルが一般的に用いられているが,このモデルではき裂内部の間隙幅が場所によらず一定であり,表現される水の流れもき裂内部全域で一様である.しかし,天然き裂は複雑な形状を持つため,間隙幅は場所によって大きく異なっている.これは,き裂内部が流体流動に大きく関与する領域と関係のない領域に分かれる可能性を示唆しており,実際に間隙構造を考慮したモデルでは,ほとんどの流体がき裂の一部分を使用して流れている事がわかった.これはChanneling Flowと呼ばれ,この面積はき裂全体の面積に対して約10%程度であった.これが岩石と水との反応に主に寄与している面積(Flow Wetted Surface: FWS)だと言える.
  • 竹村 貴人
    セッションID: S1-10
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    高レベル放射性廃棄物の地層処分や石油地下備蓄などを目的とした大深度地下空間の利用に関連して, 深部地質環境での岩石の健全性の評価が改めて問題となっている。深部地質環境下での岩石の健全性の低下は岩石のダメージが進展することで引き起こされる。例えば、地質学的な要因により引きおこされるダメージはテクトニックな広域応力や熱環境などの影響などが挙げられる。また、建設時の要因として、掘削に伴う空洞周辺領域の掘削影響領域(EDZ)で起こる応力の再配分などによりクラックが進展することが知られている。このようなダメージの進展は周辺岩盤の力学的な強度低下を引き起こすのみならず、流体の通り道である水みちとして機能する。  実際に露頭やボーリングコアから深部地質環境を把握しようとする時,得られる情報は限られている.その中でもクラックの持つ情報は深部地質環境下での力学的・水理学的な状態を直接的に評価できる数少ないデータの一つであり、現在および過去の深部地質環境に関する多くの情報を内包しているといえよう。このような地質情報、例えば、鉱物脈やクラックの密度や異方性などを積極的に数値シミュレーションに反映させるためには、地質情報をより一般的な例えばテンソル量などで表現することが必要であるといえる。本論では、クラックの幾何という視点から岩石・岩盤の力学・水理学的挙動に関する最近の研究成果をまとめる。
  • 安原 英明, 木下 尚樹, 中島 伸一郎, 岸田 潔
    セッションID: S1-11
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    放射性廃棄物や二酸化炭素等のエネルギー生成後の副産物を深地層下の岩盤内に隔離し,長期に渡りその性能を保証するためには,対象となる岩盤の水理学特性を詳細に把握することが必要不可欠である.特に,低透水性岩石を有する不連続性岩盤では,流体の流れは不連続面で支配的となるため,不連続面内の流体の流動特性を時間的かつ空間的に把握することは非常に重要となる.本研究では,作用応力・温度に依存する鉱物の溶解現象を記述するモデルを用いて,ノバキュライトおよび花崗岩の不連続面透水性の経時変化を定量的に評価した.また,拘束圧・温度を制御した花崗岩不連続面の透水試験結果と比較することにより,モデルの有用性を検討した.
  • 関根 孝太郎, 林 一夫, 篠田 弘造, 菖蒲 敬久
    セッションID: S1-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    大型放射光施設SPring-8のビームラインBL02B1において,放射光による結晶片岩中の石英脈の残留ひずみ測定を実施した.ひずみスキャンニング法により試験片表面に垂直なひずみの試験片深さ分布を求めた.無ひずみ値は,同石英脈の粉末サンプルにより決定した.石英脈の回折プロファイルは,粉末サンプルと比較すると半価幅が広く,ピーク位置が回折角の低角側へ移動する特徴を持つ.このことから,石英脈中には,脈と石英脈によって構成される層状の構造によって発生した巨視的ひずみの他に,結晶粒子オーダーの微視的ひずみが存在すると考えられる.石英の112面による回折ピークの移動量からひずみの大きさを求めた.試験片表面に垂直なひずみの深さ分布は,表面でやや小さい値を示すが,内部では,ほぼ一定でおよそ700マイクロひずみの引張であることがわかった.
  • 土屋 範芳, 岡本 敦
    セッションID: S1-13
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    変成岩中にはさまざまなタイプの鉱物充填脈が観察され,これらの鉱物充填脈は,地殻流体の組成や移動様式を解明するきわめて重要な情報を与えてくれる.本研究は,付加帯堆積岩(四万十帯),沈み込み帯の変成岩(三波川変成岩)および衝突帯の変成岩(日高変成帯)に認められる鉱物充填脈について,野外での産状,鉱物組み合わせ,鉱物組織,鉱物組成などの情報を基に,地殻流体の発生と移動様式,特にき裂内の流体の上昇速度について,一定の制約を与えることに成功した.四万十帯の鉱物脈については,流体の活動度ダイヤグラムから,わずかな圧力の変化によって,カリ長石を含む鉱物充填脈が形成されることを明らかにした.また,三波川帯の鉱物脈からは,石英の組織や粒径などのデータを用いて,流体の上昇速度を推定した.このほか日高変成帯グラニュライト帯中の石英を含まない角レキ鉱物脈について報告する.
  • M. Satish-Kumar, J. Hermann, Tomoharu Miyamoto, Yasuhito Osanai, Yoich ...
    セッションID: S1-14
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    Elucidating fluid-rock history from a metamorphosed sedimentary rock that has experienced a protracted history in the continental crust is a difficult task. Here we present results of grain to sub-grain scale strontium, oxygen and carbon isotope variations along with LA-ICPMS trace element geochemistry of texturally distinguished carbonates and silicates using cathodoluminescence microscopy, in the granulite grade marble horizons interlayered with metapelitic granulites from two key localities of Skallen and Skallevikshallsen at the Lutzow Holm Bay, East Antarctica. In addition, we have also geochemically characterized some key metamorphic minerals, such as scapolite and apatite, which are sensitive to changing fluid compositions. Such an integrated geochemical approach helped us to reconstruct the multistage metamorphic fluid-rock history preserved in the marble.
  • 廣井 美邦, Satish-Kumar M, Dunkley Daniel, 加藤 睦実, 足立 達朗, 外田 智千, 本吉 洋一, 白石 ...
    セッションID: S1-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    渦巻き成長模様を示す石墨が、南極の昭和基地南方地域に分布するグラニュライト相高温部の変成岩(サフィリン-スピネル-コランダム-灰長石を含むMg と Al に富むグラニュライト)から見出された。それはドロマイト質大理石層中に小岩塊として産出する。石墨と炭酸塩鉱物の炭素と酸素の同位体比から、石墨が析出した流体は、大理石層の外部からもたらされたものではなく、大理石層内でも局所的に生成されたものであることが示唆される。渦巻き成長模様を示す石墨は菫青石、灰長石、タルクと直接に接しており、組織的な関係から、これらの鉱物よりも先に成長したことが示唆される。それは、グラニュライト相変成作用ピーク後の温度(圧力も)下降時に、スピネルやサフィリンと共存していた部分融解メルトが固結し始め、それから放出された流体が既存の鉱物と反応することによって緩やかに組成変化した結果、形成された可能性が高い。
  • 柳澤 教雄, 佐々木 宗建, 村岡 洋文
    セッションID: S1-P01
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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     長野県小谷村の地熱井OT-2から採取した熱水と鉄、銅、ステンレスの金属材料が反応した際の表面生成物および熱水と冷却水の熱交換面の付着物を調べた。  試験期間内の熱水温度は70℃,熱水のpHは7前後で,主要元素濃度はCaが約80,全炭酸が約2500,Clが約1500,SO4が約550ppmを示していた。  銅は熱水と反応してCuFeS2(Chalcopyrite)などの銅と鉄と硫黄の化合物を生成した。一方、鉄の腐食生成物はFeCO3(Siderite)であり、硫化物は確認できなかった。  さらに熱交換面では、冷却水面においても温度が高くなる出口付近で集中的にCaCO3(Aragonite)の沈積が観察された。
  • 小川 泰正, 山崎 慎一, 土屋 範芳
    セッションID: S1-P02
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    岩石,土壌から地下水,河川水への重金属類の移行プロセスにおいて,水との相互作用は極めて重要である.中でも,岩石,土壌中の元素の存在状態は,水圏への移行し易さと密接な関係があり,これらの検討にあたり,酸化剤や還元剤,酸による構成鉱物の溶解度の差を利用した逐次抽出法が考案されている.しかし,抽出法による有害元素などの化学形態の特定は土壌に対しては広く適用されているものの,岩石に対する抽出法の検討は充分になされてはいない.そこで,本研究では,堆積岩類の粒径と重金属類の溶出挙動との関係を実験的に明らかにする.実験結果で最も重要な点は,岩石を粉末化することにより,水抽出中に再吸着反応が起こりやすくなるということである.そして,再吸着された重金属類は,希硝酸という強力な試薬を用いないと再溶出はされない.この現象は,すべての堆積岩種で生じるわけではない.しかし,重金属類の環境への溶出の危険性を考える際,“溶出する可能性のある元素”を過小評価し,“溶出する可能性の低い元素”を過大評価することになるため,リスク評価を大きく誤る恐れがある.
  • 梶原 雅博, 小川 泰正, 土屋 範芳
    セッションID: S1-P03
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    玉川温泉(秋田県)では源泉の一つである大噴と呼ばれる湧出口からpH1.2の塩酸酸性泉が毎分約9000リットル湧出し、この湧出水には多くの重金属元素が含まれ、インジウム、ガリウム、希土類元素等のレアメタルも多く含まれておりレアメタル資源としての可能性を持っている。しかし砒素などの有害元素も含まれている。本研究では河川水および底質土壌を試料として用い、室内実験の結果もあわせて特にAs、GaおよびInについて、大噴からの湧出水に含まれるレアメタルのダム湖である宝仙湖に至るまでの地球化学的挙動および堆積物内のAsとの共生関係について検討した。河川水の分析から上流で溶存イオンとして存在していたAs、GaおよびInは下流に向かうにつれて減少しており、As、Ga、Inイオンが鉄水酸化物に吸着し沈殿または浮遊粒子としての下流域への移動も考えられる。またAs、Ga、Inの鉄水酸化物への吸着はpHに大きく依存し、pH<3.5ではAsが優先的に吸着し、pH>3.5になるとGa、Inの吸着も起こる。この結果は底質土壌中にも反映されていた。よって河川の上流ではAsが優先的に沈殿し、pH上昇につれて下流域でのGa、Inの沈殿量が増加するため大噴の組成と比べると宝仙湖においてIn、GaがAsに比べ効率的に濃集していた。
  • 前田 仁一郎, 新納 亜希子, 山崎 徹, 武田 史明
    セッションID: S1-P04
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    中央海嶺下での斑れい岩-流体相互作用の最初期については十分に明らかではない.我々は大西洋中央海嶺 IODP Hole U1309D で採取された地殻下部斑れい岩中に高温の交代作用脈を見つけた.この脈には native Ni 粒が含まれる.斑れい岩-流体相互作用の最初期の交代作用は,分化した粒間メルトから分離した CH4 を含む還元的な流体に関連したものであったと思われる.
S2:月の初期分化・内部進化
  • 倉本 圭
    セッションID: S2-01
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    月の熱進化には,月内部での放射性元素の再配置が本質的な役割を果たしたと考えられる.特に一見相矛盾するように見える,月リソスフェアの急速な冷却と,海の火成活動をもたらした月内部の加熱は,放射性核種の月浅部および深部への再配置を考慮することにより説明される.
  • 並木 則行, 石原 吉明, 佐々木 晶, 杉田 精司, 鎌田 俊一, 岩田 隆浩, 森 朝子, 佐藤 麻里
    セッションID: S2-02
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    月では表側の海の上に”マスコン”と呼ばれる強い正の重力異常があることを発見されている.マスコンは,衝突盆地の地下に巨大な密度異常が存在していることを意味すると同時に,その密度異常が完全なアイソスタシーに達していないことを示唆している.マスコン盆地の補償メカニズムはまだ十分に理解されていない.マスコン盆地以外にも月には多くの衝突盆地がある.従来の研究の最大の問題点は,月全球の重力場モデルが無かったことである.「かぐや」は月裏側に回り込んだ主衛星の軌道を追跡するために,リレー衛星(通称「おきな」)とよばれる小型衛星を月周回軌道で分離し,測距信号を中継させることで世界で初めて月裏側の4-way 観測を成功させた.新たな観測から導き出された月の重力場モデルは月の二分性や内部構造を探るための貴重な情報を提供している.
  • 石原 吉明, Goossens Sander, 松本 晃治, 野田 寛大, 荒木 博志, 並木 則行, 花田 英夫, 岩田 隆浩, 田澤 誠 ...
    セッションID: S2-03
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    日本の月探査機かぐやと子衛星を用いた測月観測により、世界で初めて月裏側の正確な重力異常モデルや、全球のレーザ測距に基づく月形状モデルが得られた。我々は、これら新たに得られた測月データをもとに月地殻厚モデルを作成した。本モデルは、以前のモデルと比較して解像度や月裏側の精度が格段に向上している。 地殻厚モデルを用いた解析により、月裏側の衝突盆地構造の違いは、衝突規模に対する衝突前の地殻の厚さの違いにより生み出されたと示唆される。また、月裏側の衝突盆地は、密度欠損・過補償の違いはあれ、アイソスタシー状態から外れており、衝突盆地形成時に月裏側は既に冷えきっていたと思われる。
  • 大竹 真紀子, 横田 康弘, 春山 純一, 諸田 智克, 松永 恒雄, 宮本 英昭, 本田 親寿, 小川 佳子, 平田 成, 廣井 孝弘, ...
    セッションID: S2-04
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    マルチバンドイメージャは月周回衛星かぐや観測機器の1つであり、高度100kmの軌道から可視・近赤外波長域、合計9バンドの月面分光画像を取得する。本研究では、MIの高い月面空間分解能とS/Nを生かして月上部地殻の組成を推定した。 解析対象として、月全球のクレータ約70個を直径や年代等の条件により選定・解析し、詳細な鉱物含有量比推定を行った。結果、最終選別した約30箇所のうち高地地域の直径30km以上の全クレータ(20箇所)で、極端に斜長石に富んだ(斜長石含有量が98vol.%程度以上の)岩層の分布が観測された。また、これら岩層は深さ4から30kmに分布する。月高地地域の上部地殻は、この極端に斜長石に富んだ層で構成されると考えられ、このような組成の地殻を形成するために非常に効率的なマグマからの斜長石結晶の分離プロセスが必要となることを示唆している。
  • 中村 良介, 松永 恒雄, LISM グループ
    セッションID: S2-05
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    南極=エイトケン盆地は月の裏側/南半球に存在する、太陽系内で最も大きな衝突構造のひとつである。一般的な衝突理論による掘削深さを考えると、南極=エイトケン盆地では、斜長石に富んだ地殻は完全に剥ぎ取られ、その下にあるマントルが露出しているはずである。しかし、過去のガリレオやクレメンタイン探査機による観測では、南極=エイトケン盆地内に明確にマントル起原と同定できる領域は見つかっていない。そこで我々は、「かぐや」に搭載された分光計および多色カメラを用いて、南極=エイトケン地下深く(5~25km)の物質が露出していると考えられる、クレーターの中央丘の組成を系統的に調べた。その結果、Antoniadiをはじめとする4つのクレーターが、非常に斜方輝石に富んだ物質で構成されていることが明らかになった。この物質は、南極=エイトケン盆地をつくった衝突によってマントルが大規模に溶融し、再固結したものだと考えられる。
  • 唐牛 譲, 長谷部 信行, 山下 直之, 小林 進悟, 晴山 慎, 小林 正規, 柴村 英道, 奥平 修, 早津 佳那子, 長岡 央, 武田 ...
    セッションID: S2-06
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    月周回探査機かぐやは約1年半にわたる観測を終え、2009年6月にその使命を完了した。かぐやに搭載されたガンマ線分光計(KGRS)は月面から放出されるガンマ線を測定することにより月表層物質の元素組成分布を調べることを目的とした観測装置である。月面から放出されるガンマ線の強度は月面の元素組成と密接に関係しているため、高精度のガンマ線分光を行なうことにより、月面の元素濃度を決定することができる。KGRSは月探査に初めてGe検出器を採用したことにより、これまでにない高い精度で月面元素濃度分布を調べることが可能となった。本講演ではガンマ線分光法の概略を紹介した上で、KGRSの観測、データ解析法、さらに解析結果を用いた最新の研究成果について報告する。
  • 酒井 理紗, 久城 育夫, 永原 裕子, 小澤 一仁, 橘 省吾
    セッションID: S2-07
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
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    月地殻はマグマオーシャンの分化過程で斜長石が浮上することで形成されたと考えられているが,マグマオーシャンの化学的・物理的状態について,統一的な見解は未だ得られていない.今回我々は,斜長石析出時のマグマの密度・粘性を決定する実験を行い,マグマオーシャン中で斜長石が浮上し,地殻を形成できる条件を液と結晶の密度差、対流条件での結晶分離の可能性について検討した. 初期マグマオーシャンとして,地球マントルに等しい組成,及び鉄以外の主要元素を太陽系存在度としてFeO=4, 6, 13 wt%とする組成を想定する.MELTSを用いて分化過程を熱力学計算し,斜長石析出時のマグマ組成を求めた.この組成を実験の出発物質とし,斜長石の浮き沈みの確認と各組成のマグマの粘性を決定した.今回の結果から,月の初期マグマオーシャンのFeO量は地球のマントル組成と同等かそれ以上であった可能性が示唆される.
  • 山口 亮, 武田 弘, 唐牛 譲, 海老原 充, Nyquist Larry
    セッションID: S2-08
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    南極や砂漠から回収された月高地起源の斜長岩質角レキ岩の物質科学的研究、そして、最近の探査機「かぐや」などによる月表面の元素-鉱物マッピングから、月地殻の組成は、より多様性を示すことがわかりつつある。鉱物学的-化学的-年代学的研究から、斜長岩質月隕石Y86032およびDho489は月中央部から離れた地域を起源とすることがわった。これらの月隕石から見つかった岩石片の化学組成や鉱物組成は、アポロの原初の岩石とは異なる地殻岩石の存在を示唆する。
  • 田中 智, 飯島 祐一, 大嶽 久志, 木村 淳, 倉本 圭, 三谷 烈史, 小川 和律
    セッションID: S2-09
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    本年6月に運用を終了した月周回衛星「かぐや」に続く月探査計画として,JAXAでは月惑星への着陸および移動探査技術の獲得を主目的としたSELENE-2 計画を検討している.本計画は 1) 着陸・移動・長期滞在技術の開発と実証,2) その場観測による月表面物質の科学探査と月の利用可能性調査,3) 国際貢献と国際的地位の確保,をコンセプトとし,2010 年代半ばまでの打ち上げを目指す.本講演ではSELENE-2の科学目標や科学搭載機器についての現在の検討状況と,今後の予定について報告する.
  • 三浦 保範
    セッションID: S2-10
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    (1)月のクラスト(斜長岩など)成分の起源の議論がこれまでになく、クラスト層形成が月内部のマグマ溶融による分離成因が地球型熱源や表層活動を仮定して説明されている。
    (2)巨大衝突で地球地殻は約40億年にリセットされているが、月の高地は46億年が残り、月と同じ大きさの火星表面には玄武岩が多く斜長岩クラストが確認されていない。
    (3)衝突時に炭素含有ガスが捕獲残存され、月岩石と火星隕石試料に地球岩石と同じく含有されていることが、報告値の解析と本研究データ(各種爆発ガラス、破砕岩と隕石)からわかった。
    (4)月内部でのマグマ溶融的活動は、地球型表層海水活動を仮定しなくても埋蔵炭酸ガスの高圧流体化で、岩石進化と火山ガラスなどを形成したと考えられる。
    (5)以上から、月クラスト成分は巨大衝突時に原始地球成分を炭素(炭酸ガス)とともに取り込まれ、高圧流体化して月内部の溶融活動を始めて現在の月クラストが形成されたと考えられる。
R1:マグマプロセス・サブダクションファクトリー
R2:深成岩及び変成岩
  • Asel Altymyshovna Togonbaeva, Akira Takasu, Michio Tagiri, Azamat Alma ...
    セッションID: R2-01
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    Four metamorphic events in the eclogites form the Neldy Formation are distinguished: precursor metamorphic event; the 1st high-P metamorphic event (of eclogite facies conditions); the 2nd high-P metamorphic event (of epidote-blueschists); and the 3rd medium-P metamorphic event (of epidote-amphibolite facies). These multi-events metamorphism may explain P-T evolution of eclogites in subduction and collision tectonics of the Makbal district.
  • 宮本 知治, 榎原 彩
    セッションID: R2-02
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    熊本県北部の山鹿地域には弱変成はんれい岩・超苦鉄質岩体が産する。露頭ではブロック化したはんれい岩・角閃岩・単斜輝石岩・蛇紋岩・珪長質岩が混在することがある。蛇紋岩は大半を蛇紋石に占められ、残留結晶として少量の単斜輝石を伴う。単斜輝石岩、はんれい岩、角閃岩は概ね単斜輝石・角閃石・斜長石からなり、粒間には若干量のパンペリー石・緑泥石・アクチノ閃石が産する。珪長質岩は、石英・斜長石が卓越し、副成分鉱物としてジルコンが産する。岩石試料は、岩相と主要元素組成の特徴が調和的で、一部の元素を除き、概ね全岩組成を保存していると考えられる。HFS元素については類似した傾向を示し、おしなべて乏しい。これらの結果は、山鹿に産するはんれい岩・超苦鉄質岩がophiolite的起源を持つことを示す。珪長質岩に産するジルコンのU-Pb年代は、489Maを示した。この年代は、山鹿はんれい岩体の源岩年代を示すと考えられる。
  • 土谷 信高, 宮下 純夫, 足立 佳子, 柴田 知之, 芳川 雅子
    セッションID: R2-03
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では,オマーンオフィオライト北部,ラセイル鉱山南方に産するラセイル深成岩体,スクバ地域に産するスヘイラ深成岩体,およびワジ・フィズ上流のマントルかんらん岩中に貫入する小岩脈について,Sr-Nd同位体比の特徴を述べる.オマーンオフィオライトの火成岩類は,マントルアレイから右側に延びてプロットされることが特徴であり,海水による汚染の可能性を示している (McCullogh et al. 1980; 1981).ラセイルおよびスヘイラ深成岩体の岩石はオマーンオフィオライト中の他の火成岩類の値の範囲にプロットされるが,それらの中でもεSr値が高いことが特徴である.ラセイル深成岩体のガブロノーライトはεSr値が最低であり,含水鉱物や変質鉱物を全く含まないことから,マグマの同位体比を保持している可能性がある.にもかかわらずマントルアレイよりも右側の値を示すことは,ガブロノーライトマグマの起源物質がMORBよりも高いεSr値を持っていたことを示すのかもしれない.また,ワジ・フィズ上流マントルかんらん岩中の黒雲母花崗岩は,εNd値が著しく低いことから,大陸地殻物質起源の可能性が示される.
  • 小山内 康人, 豊島 剛志, 外田 智千, 馬場 壮太郎, 中野 伸彦, 足立 達朗, 大和田 正明, 白石 和行, 本吉 洋一
    セッションID: R2-04
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    東南極セールロンダーネ山地の変成岩類を広域的に精査し,パンアフリカン造山期の衝突型変成作用が明らかになった.
  • 加藤 睦実, 三井 兵衛, 廣井 美邦, Satish Kumar, Daniel Dunkley
    セッションID: R2-05
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
     南インド、Kerala Khondalite帯(KKB)の泥質ミグマタイトから、今回、初めて紅柱石が見出された。泥質ミグマタイトは、優黒質部(ザクロ石‐珪線石‐黒雲母片麻岩)と、紅柱石を含む優白質部から構成される。優黒質部は主として、ザクロ石+珪線石+黒雲母+菫青石+石英+アルカリ長石+斜長石+石墨+スピネルからなる。緑褐色のスピネルは、石英と接して出現することもある。優白質部は主に、石英+アルカリ長石+斜長石±菫青石±ザクロ石からなり、少量の紅柱石を含む。紅柱石は、アルカリ長石中に出現することが多い。ただし、紅柱石とアルカリ長石の間には、しばしば石英の薄層が形成されている。さらに、コランダムと石英が接して出現することもある。優白質部の紅柱石は、メルトが固結する際に形成されたと考えられる。
  • 加藤 睦実, 廣井 美邦
    セッションID: R2-06
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    南極、リュツォ・ホルム岩体のグラニュライト相高温部地域に位置する、スカレヴィックハルセンには、コンダライトとドロマイト質大理石、珪岩が互層して産出する。コンダライト層とドロマイト質大理石層の境界部には、CpxやPlに富む「スカルン」が発達していることがある(Yoshida et al., 1976; Matsueda et al., 1983)。スカルンの鉱物組合せは、ドロマイト質大理石側からコンダライト側に向かって、Zone 1 (Phl±Cpx±Spl±Carb), Zone 2 (Cpx+Spl), Zone 3 (Cpx+Pl±Scp), Zone 4 (Cpx+Pl+Sph±Opx±Scp±Afs±Qtz)、へと変化する。スカルン近傍のコンダライトは、Btを含むことから、外部から水の流入が起きたと考えられる。コンダライトは、水が存在すれば、低温(700℃以上)で共融系を構成するため、水の流入によって部分融解が起きた可能性が高い。コンダライトの部分融解によって形成されたメルトが、コンダライトとドロマイト質大理石の間での反応を促進したと考えられる。
  • 高谷 真樹, 田中 蘭, 平島 崇男
    セッションID: R2-07
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    仰木トーナル岩から新たに斜方輝石を含む斑状花崗閃緑岩を見出した.この岩相と主岩相の角閃石黒雲母花崗閃緑岩に地質温度圧力計を適応し,仰木トーナル岩の冷却固結過程を検討した.両岩相は石英,斜長石,カリ長石,黒雲母,普通角閃石,イルメナイト±チタン石±マグネタイトからなる.斜方輝石含有斑状花崗閃緑岩では斑晶質な斜方輝石,単斜輝石,普通角閃石と斜長石を伴う.両輝石温度計と単斜輝石‐斜長石‐石英圧力計より,両輝石斑晶からは820~880 ℃,2.4~4.4 kbarが,角閃石圧力計と角閃石‐斜長石温度計より,石基の普通角閃石からは2.6~4.1 kbar,690~740 ℃が見積もられる.また,角閃石黒雲母花崗閃緑岩中の普通角閃石からは3~4.5 kbarの圧力を得た.このことは,地下8‐12 km付近のマグマ溜まり中で,斜方輝石含有斑状花崗閃緑岩の斑晶鉱物の析出後,等圧減温で斜方輝石含有斑状花崗閃緑岩の石基や主岩相の普通角閃石が固結したことを暗示している.
  • 湯口 貴史, 鶴田 忠彦, 西山 忠男
    セッションID: R2-08
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は,西南日本内帯の中部地方に位置する土岐花崗岩体を例にして,岩相モデル (岩相分布および化学組成分布)を構築し,この岩相モデルを通して地殻深部における花崗岩質マグマ溜りの貫入定置プロセスについて論ずる. 土岐花崗岩体の周縁部から内部に向かって,全岩化学組成のASI (mol. Al2O3 / (CaO+Na2O+K2O)),K2OおよびAl2O3は減少し,Na2OおよびNa2O / K2Oは増大する.このことは白雲母黒雲母花崗岩でS-type系列の傾向が強く,黒雲母花崗岩においてI-type系列の傾向が強いことを示す.また周縁部から内部に向かってFe3+/Fe2+は増大する.このことは白雲母黒雲母花崗岩でチタン鉄鉱系列の傾向が強く,黒雲母花崗岩において磁鉄鉱系列の傾向が強いことを示す.
  • 堤 之恭, 宮下 敦, 大友 幸子, 堀江 憲路, 板谷 徹丸, 中村 光一, 横山 一己
    セッションID: R2-09
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    常磐炭田地域のボーリングコアのうち一本(GSJ326)は基盤の花崗岩質岩に達している.今回,この基盤岩の形成年代を確定するためにSHRIMPで zircon年代を測定し,827.0 ∼827.3 m の試料から293±1.8 Ma, 962.0 ∼962.2mの試料から300.3±1.5 Ma,1003.8 ∼1004.0 mの試料から304.3±1.7 Maの年代が得られた.年代の誤差を考慮しても,複数回に渡って火成活動があったことを示している. 一方,山上変成岩も,その変成年代は約300 Maを示す.通常では,沈み込み帯の大陸側に花崗岩,海溝側に同時代の付加体が形成されるが,この場所では逆になっている.これらが同一の沈み込み帯に関連して形成されたと考えると,横ずれ断層やナップ運動による再配列作用が働いたと思われる.また,同様の配置は九州の木山変成岩と臼杵川石英閃緑岩の間にも見られる.
  • 中村 文, 北村 雅夫, 河上 哲生
    セッションID: R2-P01
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    東南極リュツォ・ホルム岩体明るい岬に産する黒雲母ザクロ石片麻岩は主に、ザクロ石、黒雲母、珪線石、アルカリ長石、石英、斜長石からなる。マトリクス中のアルカリ長石にはラメラが顕著に見られる。ラメラ析出前の組成を復元しternary feldspar 温度計(Fuhrman & Lindsley, 1988)を適用したところ、825℃という最高変成温度付近の温度を得た。また、粗粒な黒雲母や、それに隣接するザクロ石の周囲に存在するアルカリ長石中には、パーサイト組織を呈する部分と、アンチパーサイト組織を呈する部分が一粒子中で隣接して存在する。また、アルカリ長石との結晶粒界で、黒雲母が鋸歯状の組織をもち、カリ長石側に突き出ていることがある。これらの組織は、局所的なH2O流体流入に伴い、アルカリ長石中のカリウムが選択的に消費され黒雲母が成長したために形成された可能性が高い。
  • 清水 恒子, 角替 敏昭, Santosh Madhava Warrier
    セッションID: R2-P02
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/06
    会議録・要旨集 フリー
    近年の岩石学的研究により、南インドグラニュライト地塊のMB北部およびPCSZ地域は、初期の高圧変成作用とその後の超高温変成作用を被ったことが分かっている。高圧変成作用の証拠として、ざくろ石中に含まれる藍晶石の包有物が報告されている。一方、珪線石は放射状・柱状・細粒という3つの異なる産状を呈する。そこで本研究では、MB北部とPCSZに産する高圧-超高温グラニュライト中の藍晶石、珪線石の産状をもとに、当地域の温度・圧力経路について考察した。柱状、細粒珪線石についてラマン分光分析を行った結果、細粒珪線石には藍晶石の特徴であるピークがわずかに見られたため、細粒珪線石は藍晶石からの相転移 (Ky → Sil) でできた可能性がある。本研究結果は、MB北部およびPCSZ全体が初期の高圧変成作用とその後の超高温変成作用を被ったモデルと調和的である。
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