(1)月のクラスト(斜長岩など)成分の起源の議論がこれまでになく、クラスト層形成が月内部のマグマ溶融による分離成因が地球型熱源や表層活動を仮定して説明されている。
(2)巨大衝突で地球地殻は約40億年にリセットされているが、月の高地は46億年が残り、月と同じ大きさの火星表面には玄武岩が多く斜長岩クラストが確認されていない。
(3)衝突時に炭素含有ガスが捕獲残存され、月岩石と火星隕石試料に地球岩石と同じく含有されていることが、報告値の解析と本研究データ(各種爆発ガラス、破砕岩と隕石)からわかった。
(4)月内部でのマグマ溶融的活動は、地球型表層海水活動を仮定しなくても埋蔵炭酸ガスの高圧流体化で、岩石進化と火山ガラスなどを形成したと考えられる。
(5)以上から、月クラスト成分は巨大衝突時に原始地球成分を炭素(炭酸ガス)とともに取り込まれ、高圧流体化して月内部の溶融活動を始めて現在の月クラストが形成されたと考えられる。
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