日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2009年年会
セッションID: R3-P03
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R3:岩石・鉱物・鉱床一般
単斜輝石の赤外分光測定から推定するマグマの含水量
*奥村 聡
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キーワード: , マグマ, 単斜輝石
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抄録

水はマグマの物性を大きく変化させるため,火山の噴火プロセスを理解するためにはマグマの含水量を決定する必要がある.マグマの含水量を決定する一般的な方法として,斑晶に含まれるメルト包有物(MI)の測定や相平衡実験に基づく見積もりなどが挙げられる.また,最近では斑晶の含水量測定から決定する方法も提案されている.本研究では,単斜輝石(cpx)の含水量測定を行い,cpx-メルト間の水の分配係数を利用することでマグマの含水量を見積もった.対象としたのは,北海道駒ヶ岳1929年噴火(Ko-a),浅間火山天明噴火(As-A),桜島火山大正噴火(Sz-TP/P1)で噴出した安山岩マグマである.それぞれの噴火で噴出した降下軽石中に含まれるcpxの含水量を顕微赤外分光計で測定した.含水量の計算には,Kovacs et al. (2008) の方法を用いた.cpx-メルト間の水の分配係数は,Ko-aのcpxとcpx中のMIの含水量から決定した.cpxの含水量は,350ppmであった.MIの含水量はTakeuchi&Nakamura (2001)とOkumura et al. (2004)により3.1wt%と見積もられており,分配係数は0.011となる.この分配係数を利用すると,As-AとSz-TP/P1の含水量は2.8および2.2wt%と見積もられた.本研究で用いたマグマの含水量の測定方法は,MIの測定などと比べると比較的容易であり,分配係数が決定されている場合には非常に有効な方法である.

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© 2009 日本鉱物科学会
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