阿蘇周辺地域に分布する先カルデラ期から後カルデラ期の火山岩を採取し,Sr, Nd同位体比および全岩化学組成の測定を行った.SrおよびNd同位体比のダイアグラム上において,前期先カルデラ期の噴出物の同位体比はSr比・Nd比が0.7040・0.51285(成分A)と0.7044・0.51270(成分B)付近の2つの領域に分かれる.後期先カルデラ期および後カルデラ期ではこれらの2つの領域の間にばらついた分布をする.間およびカルデラ期ではこれらの間の狭い領域に分布する.後期先カルデラ期以降の火山岩を作ったマグマは,前期先カルデラ期の2成分を作った物質が端成分となった,もしくはSr比が低い成分Aを作った物質に地殻物質が関与したと考えられる.また,間カルデラ期を含むカルデラ期と後カルデラ期の地球化学的特徴が大きく異なることから,後カルデラ期のマグマ形成プロセスはカルデラ期とは異なっている.