抄録
タイ中部Pranburi~Hub Kapongに産する変成岩類を記載した。Pranburiに産する泥質変成岩はザクロ石+珪線石±菫青石+黒雲母の組合せをもち、稀に紅柱石も含む。2段階成長を示す電気石やディモルティエ石の存在は、泥質変成岩の面構造を切って貫入する含電気石優白質花崗岩起源の含ホウ素流体が泥質変成岩に浸透し、後退変成作用を及ぼしたことを示唆する。Hua Hin付近に産する変花崗岩は面構造が珪線石+黒雲母で定義され、ザクロ石+珪線石+黒雲母組合せを有する。これら2地域に分布する変成岩の最高変成条件は白雲母+石英の高温限界を超えていたであろう。全体として、黒雲母+白雲母組合せを有する泥質片岩を産する北西のHub Kapongから南東のPranburiへと変成度が高くなる。後退変成の影響が著しいため、変成年代の制約には、ジルコンやモナズ石を用いた年代測定が重要となる。