四国三波川変成帯上須戒鉱山産のMn2+とSrに富みREEを含む紅簾石の研究を行った。本試料は高いSr (2.2-6.2 SrO wt.%), Mn (16.2-18.8 Mn2O3 wt.%), REE (0.7-4.0 REE2O3 wt.%) 含有量で特徴づけられる。X線単結晶構造解析の結果 (R1 = 4.4%),陽イオンの席選択性は(Ca0.59Mn0.41)A1, (Ca0.71Sr0.19REE0.10)A2, (Al0.72Mn(SUB>0.17Fe0.11)M1, (Al0.11Mn0.55Fe0.34)M3であった。A2席におけるSr含有量の増加はM1席におけるM3+の増加を引き起こす事が知られているが,本研究ではその傾向は見られなかった。A1席中のMn2+含有量の増加に伴い,AlO9多面体は変形し,歪んだ6配位席となる.さらにSr量の増加に伴い平均A2-O距離は増加し,A2-Oiは異方的に膨張する。