抄録
鹿児島県三島村竹島の佐多浦海岸に見られる玄武岩中に,直径が最大約1 cmの灰長石巨晶が発見された。鏡下では,巨晶の最周縁部に僅かに累帯構造が観察されたが,全体としては光学的に均一であり,包有物として融食形をしたカンラン石が見られた。結晶構造はX線回折データから高温型であると推定された。また化学分析の結果,組成的にはほぼ均質な結晶であることが確認された。灰長石成分は94%前後であり,曹長石成分が5%程度,FeAl2Si2O8成分,CaFeSi3O8成分,[ ]Si4O8成分が微量に含まれる。上記の産状及び結晶化学的特徴は,薩摩硫黄島産灰長石巨晶と酷似していることから,同様の生成過程が推定される。