およそ8万年前と4万年前に噴出した鳴子火山起源の荷坂凝灰岩と柳沢凝灰岩について、流動・堆積様式や噴火推移の解明を目的とし、各凝灰岩の細分及びフローユニット毎の対比を行った。
荷坂凝灰岩は、5フローユニットに細分された。初期噴出物は、単斜輝石を欠き、SiO
2に富む。後期は単斜輝石を含み、次第に低SiO
2、高TiO
2, Al
2O
3, FeO*, MnO, CaO側の組成へ変化した。
柳沢凝灰岩は、4フローユニットに細分でき、ユニット3で火砕サージも確認した。初期は、SiO
2に富み、マフィック鉱物に乏しく、中期は組成幅のあるマグマが噴出した。中期のSiO
2に富む側は初期と近い組成を示し、乏しい側ではTiO
2, FeO*, MgO, CaOに富む。単斜輝石に加え、角閃石も認められる。後期では初期に似た組成を示すが、K
2O レベルが大きく異なる。
柳沢凝灰岩はサージが伴われ、角閃石斑晶が認められることから、荷坂凝灰岩を生じたマグマに比べて噴火時の含水量が高かった可能性がある。
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