日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
セッションID: T4-03
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T4:レオロジー 地殻からコアまで
チベット中央部のナムツォ湖周辺に分布する段丘から制約した高い粘性を持つ中部地殻
*ウォリス サイモン森 宏小澤 和浩鷺谷 威中村 俊夫时 丕龙
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抄録
チベット高地に点在する湖の周囲には数多くの湖段丘が分布する.湖の水位が下がると地殻を隆起させる浮力が生じる.隆起が起こるために中部地殻における岩石の流動も必要である.流動のタイムスケールは、湖の盆地の幾何学と中部地殻の粘性で決まる.盆地の形は既知であるので,粘性は段丘の隆起量及び隆起のかかった時間から導出できる. 段丘の隆起量は湖の中央が最大であり,一般に同じ段丘は場所によって中央からの距離が異なる.よって,湖の地盤の隆起が起こると段丘は緩やかに傾斜することになる.チベットで最大級の湖であるナムツォ湖周辺の段丘の高さをキネマティックGPSによる精密測量により決定し,段丘に付着したトゥファの14C年代測定を行った.その結果,ナムツォ地域の中部地殻は10^20 Pa s以上の粘性を持つという制約が得られた.一般的に予想されるチベット中部地殻における低粘性層の存在を再検討する必要が出てきた.
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© 2011 日本鉱物科学会
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