抄録
地球型惑星のテクトニクスを考察する上で鉱物のレオロジーはとても重要である。これまでに流動則を惑星内部の温度・圧力に外挿することによって、地球型惑星内部のレオロジー層構造が推察されてきた(e.g., Mackwell et al. 1998)。しかし、高温領域での1相系実験から求められた流動則を使い、地殻•マントルのレオロジー変化を考察してよいのか問題点が残る。本研究では地殻•マントルの主要構成鉱物である斜長石・かんらん石を同時にアルミナピストンに挟み、固体圧式実験装置によって変形させることで、2つの鉱物の強度比を直接調べ、地球型惑星内部のレオロジー層構造に応用した。本研究で明らかになったのは、今まで斜長石よりかんらん石が堅いと思われていたが、低温(400℃)ではかんらん石の方が柔らかくなることと、本実験結果を金星に応用したところ、金星の下部地殻と上部マントルには大きい強度コントラストが期待でき、デカップリングを起こす可能性を示唆した。