抄録
西南日本中国地方中部地域の三郡帯の超マフィック岩体群は主にハルツバーガイトとダナイトで構成され、しばしばクロミタイトを伴っている。この地域では、ダナイトの存在比率が高い岩体ほど、クロミタイトが多く、ダナイト比率の高い岩体や場所を抽出した後に、クロムスピネルの化学組成を用いて鉱床賦存の有望地域の絞り込みが鉱床探査法として提案された(Matsumoto et al., 1997)。 本研究では、砕屑性のクロムスピネルの化学組成を調べ、多里−三坂岩体北部のクロム鉱山周辺では、45.4%という高いクロミタイト起源のスピネルの比率が明らかとなった。クロミタイト起源のスピネルの比率は、それぞれの岩体にて、0.0%~45.4%まで変化することがわかった。多里−三坂岩体北部以外で、ポテンシャリティが高い岩体として、持丸岩体(40.0%)、高瀬岩体(32.0%)、稲積山岩体(28.3%)が抽出された。