抄録
グァテマラ・モタグア断層帯に沿って分布する蛇紋岩メランジュ中には白亜紀の海洋沈み込みに伴う各種高圧変成岩ブロックを産する.これら高圧変成岩からはさまざまな年代値が報告されているが,変成履歴やテクトニクスとの関係は未解決の問題である.今回,モタグア断層帯北側の蛇紋岩メランジュから産したざくろ石角閃岩中に7段階成長を示すざくろ石を見出した.詳細な微細組織観察とシュードセクション解析により各ざくろ石の形成条件を見積もった.求められた複雑な変成履歴は,白亜紀カリブ地域における二回の海洋沈み込み帯の創生と熱的進化を記録したものと解釈される.