抄録
四国東部眉山地域の三波川変成帯は,点紋片岩と無点紋片岩が分布する.Faure(1983)は,高越‐眉山地域における三波川帯に,ダクタイル剪断帯が存在し,それが点紋帯と無点紋帯の境界に位置するとし,剪断帯中の蛇紋岩,変斑れい岩,ざくろ石角閃岩の存在を報告した.本研究では,ざくろ石と単斜輝石を含む泥質片岩または珪質片岩の薄層についての岩石記載を行う.これらは,点紋片岩分布域と無点紋片岩分布域の双方でみられる.点紋泥質片岩中の薄層は,珪質~泥質片岩であり,角閃石(コア:Na‐Ca角閃石,リム:Na角閃石),ざくろ石(Mnに富む),曹長石,単斜輝石(エジリン‐オージャイト),を含む.無点紋泥質片岩中の薄層は,珪質片岩であり,角閃石(コアとリム:Na‐Ca角閃石,マントル:Na角閃石),ざくろ石(Mnに富む),単斜輝石(エジリン‐オージャイト)を含む.後者に含まれるざくろ石は,前者のものよりCaに富む.