バラス(ballas)は,中心から放射状に伸びた柱状結晶により構成される球状の多結晶ダイヤモンドである.結晶成長理論に基づくと,そのバラスの形態そのものが,高い成長駆動力下での急速生成を示唆しているが,その成長環境や生成のメカニズムは未知である.そこで発表者らは,地球深部におけるバラスの起源に迫るべく, EBSDを用いた結晶方位解析とTEMによる微細組織観察,包有物の記載を中心に研究を進めている.結晶方位分析の結果,バラスにおける多結晶の集合状態には,[110]へ慎重した柱状結晶の放射状集合から,単結晶様のものまで,様々なバラエティがあることが分かった.バラスにおけるこれらの結晶集合組織のバラエティは,生成環境中での成長駆動力の大きさを反映したものと推測される.