抄録
標準的な原始太陽系星雲は0.01~100 Paと予測されるのに対して,原始太陽系で形成したと考えられるコンドリュールの再現実験は主に大気圧で行われてきた.~1Pa程度の水素雰囲気実験よりも天然との一致が高いことが示されていることから,コンドリュールは標準的な星雲圧下で形成したのでなく,大気圧に近い条件で生成した可能性がある(Cohen and Hewins, 2004).しかし,この実験では蒸発に関与する成分(Fe, Si, Mn)のガス分圧が考慮されなかった.これを制御することにより標準的な星雲圧力でコンドリュールがより再現できる可能性がある.コンドリュール形成時の全圧はその成因を探る上で重要である.本研究では,水素雰囲気炉を用いて,準閉鎖系でのコンドリュール再現実験を始めた.予察的な実験では,実験生成物は金属成分が減少していることから,金属鉄成分が蒸発したと考えられる.