五良津東部岩体の原岩は層状斑れい岩体であり,1)グラニュライト相変成作用(角閃岩相-緑れん石角閃岩相),2)高温エクロジャイト相変成作用(藍閃石→エクロジャイト相),3)低温エクロジャイト相変成作用(藍閃石→エクロジャイト相),4)緑れん石角閃岩相変成作用(狭義の三波川変成作用)の複雑な変成作用を経たことを示す.エクロジャイト相変成作用は2)と3)の2回が認められ,2)の高温エクロジャイト相変成作用ではXPyr<0.45の高Mgざくろ石が形成された.3)の低温エクロジャイト相変成作用では顕著な昇温累帯構造を示すざくろ石が成長し,このざくろ石はオンファス輝石,緑れん石,藍閃石,フェンジャイトを包有する.低温エクロジャイト変成作用に於いても,藍閃石安定領域からエクロジャイト相への昇温変成過程が認められる.